Unsplash+
▶︎すべての写真を見る 2015年にNHKの特集番組で取り上げられるなどして、一気にクローズアップされた抗老化成分「NMN」。
ある実験では、ヒトでいうところの60代のマウスにNMNを投与した結果、20代相当の筋肉になったという報告が広まったが、果たしてそんな「若返り」が人間でも現実に起こるのだろうか。
日本におけるNMN研究の権威である澤邊昭義先生に、老化の考え方・NMNの効果について伺った。
話を聞いたのはこの人! 澤邊昭義さん●近畿大学農学部応用生命化学科・大学院農学研究科 准教授。マサチューセッツ工科大学博士研究員、近畿大学農学総合研究所 助手、講師、助教授を経て2000年より近畿大学農学部 准教授に。専門分野は生物環境学、生命資源化学、毒性学、分析化学。「生命と環境を守る」をテーマに、化粧品や食品の安全性や有用性評価を行っている。
「抗老化」は夢の話じゃない!
Unsplash+
――そもそもヒトに起こる「老化」とはどのような現象なのでしょうか? まず「老化」と「加齢」は、区別して考えるべきです。
老化は、「加齢に伴って起こる身体や精神などの働きの低下を示す。避けられるもの」。加齢は「時間の経過とともに誰にでも起こる。避けられないもの」。
誰でも歳を取りますが、より良い歳の取り方があるということです。
――加齢と老化は別ものなんですね。 たとえば肌がたるんだり、耳が聞こえにくくなったりするのは老化症状の一例で、そこには個人差があります。老化は運動や食生活などの生活習慣を変えることで進行を遅くしたり、改善したりすることが可能であるとさまざまな研究で明らかになってきました。
これらのことにより、「老化は病気である」と認識されるようになっています。
――老化はいつから起こりますか? 肌の研究から見ると、30歳前後に老化を自覚する方が多いようです。また生命維持に大切な成分は、加齢に伴い生産量が減少するのですが、ヒトでは20歳以降から変化が見られます。
――つまり20歳から老化が始まっている? そうです。そして病気は「不健康」という意味ですから、現時点で抗老化を意識すべきで、それが結果として健康寿命をのばすことにも繋がります。
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。世界保健機関(WHO)の発表によると、日本は平均寿命とともに健康寿命でも第一位です。
ただ以下のグラフを見ると、平均寿命と健康寿命との差、つまり「健康ではない期間」が10年以上もあります。この差を埋めることを課題に、早い段階で抗老化を心がけましょう。
グラフ提供)澤邊昭義先生
2/3