現在、日本橋三越本店で『大坪商店〜幸せの物差し〜』が開催されている。
大坪商店とは、ファッションライフスタイルコンサルタントとして活躍する大坪洋介さんが、自身ならではの洗練された審美眼によってファッション雑貨、インテリア用品などをセレクトするポップアップストアで、全国各地の貴重なコレクションを展開している。
昨年の初開催に続き、2回目となる今回のテーマは「幸せの物差し」。イベント開催の経緯などを、大坪さんに聞いた。
1956年、鹿児島県生まれ。70年代に米国でバイヤーとして活躍。その後リーバイスなどでディレクターを務める。現在はファッション・ライフスタイル コンサルタントとして活動している。
石川を中心に各地の伝統工芸&芸術が集結
「2024年1月1日、私たち日本人にとって心新たに迎える神聖な日に、地殻変動と表されるほどの大きな地震が石川県能登地方で発生しました。昔ながらの美しい街並みが一瞬にして消えてしまったのです。
ニュースから伝わる凄惨な光景を目の当たりにし、東京にいた私自身でさえも恐怖を感じたことを今でも覚えています。このようなときに私たちに何ができるかを、三越の担当の方とも相談しながら、たくさん考えました。
その結果、迷う気持ちもありましたが、まずは石川県の伝統工芸を守っていらっしゃる方々に、『第二回 大坪商店』への参加のお願いをさせていただくことにしたのです。
その旨をお伝えすると、被災されて大変な状況であるにもかかわらず、心良く出品のご協力をしてくださいました。
20世紀を代表するフランス画家・アンリ・マティスとの親交を深めた洋画家、硲(はざま)伊之助を師と仰いた海部公子(あまべ・きみこ)さんによる九谷焼の作品、さらに東京から山代へ移住した元セレクトショップバイヤーの藤永晋悟さんによる、「月月(つきつき)」の自然素材由来のお香や九谷焼のお香皿など、石川県が誇る伝統工芸が盛りだくさん。
もちろん、石川県以外の作家さんの、素敵な作品も販売させていただきます。
また今回、輪島で活躍される作家のみなさまに焦点を当てた『輪島の未来のために』という企画も同時開催。どの作品も本当に素晴らしく、作家のみなさんのこだわりの詰まった作品を実際に手にとっていただくにはまたとない機会になると思いますので、ぜひ足を運んでいただきたいです」(大坪さん)。
九谷焼の陶板の上に絵を描いた、海部公子さんによる作品。自身の庭に咲いていた花や採れたての魚など、日常の何気ない風景を彩り豊かに力強く描かれているのだ。
アンリ・マティスの作品を彷彿させる、鮮やかな色使いが目をひく大皿。古九谷という、江戸初期に存在した色絵磁器を再現した貴重な逸品。
『輪島の未来のために』企画にて、漆芸家・古込和孝さんによる輪島漆器も豊富に展開。フクロウの毛並みは一本一本手作業によって描かれているという繊細なもの。
シュークリエイターであるTAKAFUMI ARAIのシューズアクセサリー。レザーの端材を使用し、キルト・タンやカラフルなタッセルなどを販売する。
大坪さんも参画している受注生産のみのデニムブランド、コールマイン・ギャランティードのデニムに加え、刺繍作家、竹内利充さんによる刺繍入りデニム・トートバックを5個限定で特別販売。
約200年前に栄えていた松代焼を、50年ほど前に復刻させた唐木田伊三男さんによる作品。トルコブルー釉薬(ゆうやく)と、伝統的な松代焼を融合させた。本イベントではマグカップなどの定番に加え、今まで作陶されていなかったデミタスカップやそら豆型皿、ソーサー、抹茶茶碗など11種類の新作がお目見え。
月月(つきつき)がプロデュースするブランド『植物△線香』は、自然由来の香料や染料のみを使用して作られているお香。
九谷焼の窯元で100年以上前の型を発見し、それをベースに作ったお香皿。本来は壺などに貼る装飾品なのだとか。これまでオランダのみでの販売だったが、今回が日本初リリース。
茨城県の工房tsutae(ツタエ)のスカーフやストール。春夏仕様ということで今回はシルクやリネンなどの天然素材を用い、織り機を使い丁寧に手織りしている。手前のストールは大坪ディレクションによるシルクのストール。
インテリアデザイナーの吉田正太郎さんによる、デジタルで描いた絵をキャンバスにプリントした作品。ちなみに右下は、大坪さんの肖像画。
大坪商店~幸せの物差し~
会期:4月10日~4月23日(火)
会場:日本橋三越本店 本館5階 スペース#5
東京都中央区日本橋室町1-4-1
電話:03-3274-8527(キッチン・生活雑貨 直通)