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若者たちを容赦無く「置いていく」

この話を聞いていて筆者自身も気づいたのが、2人のトークに元気をもらい、自然と加齢へのネガティブなイメージがなくなっているということだった。

父親が腰を痛めて好きなゴルフを諦めたり、母親が老眼鏡を手放さなくなったり。加齢によるいろいろな「症状」が出てきた両親を見ていて、いつか自分もああなるのかと、年を重ねることへの怖さがあった。

しかしスー氏と堀井氏は、加齢に伴う物忘れや身体の衰えについて、それはそれは愉快に話す。

「ピンチはチャンス、の『ピンチャン同盟』を組んでいる私たちは、どんなことがあっても負けへんで!」と”迷”台詞でリスナーを勇気づけることもあれば、加齢による記憶力の低下は幽霊に憑かれたことにして「物忘霊(ものわすれい)」と名付けてみたり、閉経についての悩みやエピソードについて話す、平家物語ならぬ「閉経物語」を語ったり。

「あるよねー!」「わかるー!」と2人で盛り上がる様子に、「なんだか楽しそうだな」となる。年齢を重ねた人にしかわからない「あるある」に若者は話についていけなくなる。でもその容赦無く「置いていく」感じが、筆者もいつか共感したい!という気持ちになり、今では「おばさんになるのもいいな」なんて思っている。

振り返ると、筆者は学生時代に多忙ながらも生き生きと働く女性記者に憧れ、社会人になった今、スー氏と堀井氏のように、年を重ねても明るく楽しそうにしている女性に惹かれている。筆者のような20、30代からも支持が厚い理由は、スー氏らが、自分たちがおばさんおじさんになっても2人のように楽しく過ごしたい、というロールモデルになっているからだと思う。そしてこの思いはどの世代にとっても同じで、楽しそうなおばさんが「希望」になっているのだ。


※この記事に関するさらに詳しい情報は、Forbes JAPAN5月号 52ページ:『「私はアバター」 人生相談のプロが語る仕事との付き合い方』をご覧ください。
 


川上みなみ=文・編集部
Forbes JAPAN=提供記事

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