結成35年、河村隆一が語る「LUNA SEA」
ジョー ところで、去年LUNA SEAはデュアルアリーナツアー、土日で違うアルバムを再現するという前代未聞のライブをされましたけど、振り返ってみてどうですか?
隆一 SNSがなかった時代から、アーティストとしての承認欲求を曲作りやライブハウスで求めてきて、時間はかかったけど、LUNA SEAがロックバンドの一角を成せるようになった。そんなバンドの歴史の中に『MOTHER』と『STYLE』という2枚のアルバムが生まれたのはエポックメイキングだと思いましたね。
ジョー 日本のロック史上に燦然と輝く2枚ですからね!
隆一 この2枚を新録したときに、僕らは未来を感じられたんですよ。センスとかアレンジとかメッセージとか今の時代にも通用すると思えたし、LUNA SEAって唯一無二のバンドだったんだとすごく感じました。
ジョー ライブに行けなかった方は、『MOTHER』と『STYLE』が新録で出てるので、ぜひ音源だけでも聴いていただきたい!
隆一 LUNA SEAって5人がリーダーでやって来たから、意見がぶつかってたんですよ。つまり教科書に載っているような秩序というアーキテクチャー、建築物は楽曲上なかった。
ジョー なるほど、なるほど。
隆一 ぶつかってるから、ちょっと歪なんですよ。例えばピサの斜塔とか歪なものって記憶に残るじゃないですか。
ジョー 残りますね。
隆一 不完全さが他のバンドと一線を画していた、一つの様式だったのかなと思って。同じロックでもちょっと毛色の違う音楽をやっていた、それが結果的に再録してみたら過去をなぞっているのに新しい、こんな不思議なことあるんだと思いましたね。
ジョー 確かに。言ってしまえばカバーアルバムだから、懐かしさを感じてもおかしくないですもんね。
隆一 そうそう。だけど、未来を感じたんですよ。新ジャンルって感じかもしれない。建築物として、あれ、ちょっと変だなってところが美しいと思える瞬間があったんですよね。
ジョー 常に異端で、っていうのは大切かもしれませんね。
隆一 僕たちは、ライブハウスがパンパンになって、ホールになって、大ホールになって、アリーナになって……ってやってきたバンドなので、それってある意味全てファンの方が支えてるわけじゃないですか。
ジョー ファンに求められて、ですもんね。
隆一 だから僕らはファンの人たちのことメンバーって言ってるけど、媚びてるわけでもなんでもなく、彼らが作ったシーンなんですよね。その中でLUNA SEAが35年を迎えて、「時代は常に革命児のために開かれている」のかな、と感じます。
ジョー 名言が出ましたね〜!
隆一 そして、今日は、およそ84年前に革命を起こした弥生さんに来てるわけですよ。
ジョー そういうことでございます。そろそろお料理が来そうですね。
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