NHKとニッポン放送、「違和感なし」の同時生放送
夜11時前、「ありゴトウございました」というダジャレの挨拶で、コラボ放送第一部は無事に終了。その後、NHKのスタジオをつないでの11時台同時生放送、0時台のコラボ放送を終えた鈴木杏樹さんに改めて感想を伺った。
「NHKとニッポン放送がいろんなことを越えて同時に生放送ができるんだ!ってことにすごく驚いたし、カラーの違う番組同士が違和感なくコラボできたっていうのは、素晴らしいことだと思いました。今回、初めてそれぞれの番組を知ったという方もいらっしゃるかもしれない。スイッチしながらこっち聴いたりあっち聴いたりしてもらえたらステキですよね。すごくいいきっかけになるんじゃないかと思いました」
取材の最後に、構成作家の神部氏が、こんなことを話してくれた。
「今はタイムフリーや聴き逃しでいつでも放送が聞けるけれど、この夜の時間帯だからこそラジオを必要としている人がいるんじゃないかと思っています。介護をしながら、仕事をしながら聞いている人も多い。それがこの時間の特徴です。番組に届くメールを見ていると、本音というか、自分の人生について書いてくれる人が多いです。
先日も、常連リスナーの方が、初めて打ち明けるけど自分はパニック障害なんですと書いてこられた。そうしたら、他のリスナーの方からも、実は僕も、ってメールが来て……。この夜の時間って、つい打ち明けたくなってしまうんでしょうね。
これはニッポン放送で『上柳昌彦 あさぼらけ』を担当する上柳昌彦アナが言っている言葉でもありますが、皆さんに伝えたいのは、ラジオにはあなたの居場所が絶対ありますよってことです。ニッポン放送でもNHKでも、どこかに必ずある。だからあちこち聴いて、あなたの居場所を見つけてください」
今回、ニッポン放送「オールナイトニッポン」とNHK「ラジオ深夜便」の競演という一大プロジェクトを覗かせてもらったわけだが、さすが深夜の長寿番組というべきか。違いを自然に溶け込ませる懐の深さや、それを面白がれる余裕は双方に共通していたように思う。
自由度が高いといわれるラジオだが、深夜ラジオは底が知れない。不思議な夜の時間のそんな「底の底」で、ラジオの向こうにいる“耳友”と、あなたも一緒に過ごしてみてはいかがだろうか。
池田ちひろ(構成・文)◎フリーディレクター、ライター。広告出版会社勤務を経て、2003年ディレクターに転身。TV番組の制作に携わったのち、現在はNHKラジオで「ごごカフェ」「ラジオ深夜便」「ラジオ保健室」「あやかしラヂオ」などの制作を担当している。ラジオ特集「孤高のキャメラマン木村大作 映画人生を語る」で、第54回(2016年度)ギャラクシー賞奨励賞を受賞。
〈番組関連書籍〉
■ニッポン放送「上柳昌彦 あさぼらけ」初の番組関連書籍
『
居場所は“心(ここ)”にある』(上柳昌彦と仲間たち著、2023年、扶桑社刊)