OCEANS

SHARE

2024.03.09

「4億円の車も“無駄”にカスタムする泥臭さ!」大阪オートメッセでプロが見つけた主張強めな珍稀車



連載「珍稀車図鑑」とは……

クルマ造りのパイオニア・鹿田能規さんに、珍しい&稀少な車を紹介してもらう本連載。今回は、カスタムカーの祭典「大坂オートメッセ」に潜入。どうやら鹿田さんの会社が手掛けたカスタムカーも出展されているようだ。

▶︎すべての写真を見る
案内人はこの方!
鹿田能規さん●関西と関東に拠点を構えるエスアンドカンパニー。スーパーカーからノスタルジックカーまでクルマ作りの第一人者として全国にその名を馳せる。www.s-company.jp

鹿田能規さん●関西と関東に拠点を構えるエスアンドカンパニー。スーパーカーからノスタルジックカーまでクルマ作りの第一人者として全国にその名を馳せる。www.s-company.jp

“無駄のカタマリ”に “無駄”なことをする。それがカスタムの醍醐味


珍車を求めて、カスタムカーの祭典「大阪オートメッセ」へ。こう言うと「それって、東京オートサロンの大阪版でしょ?」と思う人がいるかもしれませんが、全然ちゃいますよ。

百聞は一見にしかず。まずはウチ(エスアンドカンパニー)で仕上げた車を見てください。「ランボルギーニ シアン」と「ランボルギーニ カウンタック アニバーサリー」、そして「フェラーリ テスタロッサ コンペティションエボリューション(以下、ケーニッヒ コンペティション)」です。いずれも東京オートサロンには出展していません。

左がランボルギーニ シアン、右がランボルギーニ カウンタックアニバーサリー。新旧の“キング・オブ・ランボ”です。

左がランボルギーニ シアン、右がランボルギーニ カウンタックアニバーサリー。新旧の“キング・オブ・ランボ”です。


フェラーリ テスタロッサというだけでも夜の六本木の路上でマウントが取れた時代に、その上を行ったのがケーニッヒ コンペティション。

フェラーリ テスタロッサというだけでも夜の六本木の路上でマウントが取れた時代に、その上を行ったのがケーニッヒ コンペティション。


新車で約4億円もするシアンは、オリジナルのイエローから、オーダーで艶消しシアングリーンへとラッピングで変えています。落とす必要もないのに車高をベタベタに落として、ホイールも変えました。
 
シアンのコックピット。4億円の車は、やっぱり内装もスーパー。

シアンのコックピット。4億円の車は、やっぱり内装もスーパー。


一方の、世界の天然記念物に指定されても不思議じゃないカウンタック アニバーサリーは、フェンダーもボディも容赦なくぶった切りました。これぞシャコタンです。オーバーフェンダーを備えて全幅は2mを超えました。この車、友人がオーナーなんですが、彼は毎日のようにこれを乗り回しています。「漢」と書いて“オトコ”と呼びます。

どちらもハッキリ言って、無駄です。車高を落とすなら、あるいはシャコタンにするなら、何もわざわざ4億円のシアンや、天然記念物のカウンタックでなくてもいいんです。じゃあ、なんでするのか? 無駄が好きなんです。

だいたい、都内を走るならスーパーカーじゃなくていいじゃないですか。カーシェアリングで十分です。でもね、じゃあバッグを選ぶとき、荷物が入れば何でもいいですか? そうじゃないですよね。車も同じです。

そもそも4億円の車なんて、無駄のカタマリです。それにさらに無駄なことをやる。それがカスタムの醍醐味じゃないかなと思うんです。

ケーニッヒ・テスタロッサの内装。「エロい」「ゴージャス」という言葉がぴったり。

ケーニッヒ・テスタロッサの内装。「エロい」「ゴージャス」という言葉がぴったり。


ケーニッヒ コンペティションは、既に約35年も前にケーニッヒが“無駄”なことをしているから、敬意を表する意味でも、内外装のリファインにとどめました。マイク・タイソンも乗っていた1000馬力もあるケーニッヒのテスタです。バブル期には“トップ・オブ・垂涎”の的すぎて、コピーが氾濫したほどです。もちろん、ウチのはホンマもんです。

当時のテスタロッサといったらフェラーリの頂点、バブルの象徴ですよ。それでも飽き足らん人がたくさんいたんです。「オレのほうがもっと幅が広い」とか「馬力がある」とか。マイク・タイソンも含め、そういう人たちがこのケーニッヒ・テスタを求めた時代です。

こうした30年以上も40年も前のスーパーカーをね、当時生まれていない若い世代が期間中たくさん写真を撮ってましたよ。インターネットでしか見たことのない車が、目の前にあるんですから、シャッターを押す気持ちもわかります。



2/3

次の記事を読み込んでいます。