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――睡眠の質が悪くなることで、何か健康リスクも高まるのでしょうか?

高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まりますし、睡眠障害になる可能性もあります。また満足に眠れていませんから、日中に眠くなったり、注意力や判断力が落ちて、仕事の生産性が悪くなる可能性もあります。

それとお酒を飲まないと眠れないという方もいると思いますが、これはアルコール依存症になりやすいんですね。寝酒をする方は、お酒の方が睡眠薬よりも安全だと思っている人が多いのですが、アルコールは耐性ができるため、飲む量が増える危険がある。

お酒に頼らないと寝られないという方は、一度医師に相談して、生活指導や寝室の環境の整え方を聞いて、必要であれば睡眠薬も取り入れる方が安全性は高いです。



――付き合いで飲みに行ったり、晩酌をしたいときもあるのですが、睡眠に悪影響がない飲み方はありますか?

まず寝る直前に飲むのは避けましょう。日中の緊張をほぐして、リラックスするために早い時間に少し飲む程度であれば、問題はありません。

――目安はありますか?

体重60kgの男性が20gのアルコールを分解できるまでに3時間かかると言われているので、寝る3時間前までに、日本酒ならお銚子1本、ビールならロング缶1本、ワインであればグラスに軽く2杯ぐらいが許容範囲ですね。ちなみに女性や高齢者であれば、お酒は半分の量が目安です。



――飲み過ぎてしまったらどうしたらいいですか?

睡眠時は、起きているときに比べて、アルコールの分解速度が半分ほどになります。だから酔った状態で寝てしまうと、アルコールの影響が長く続くことになる。

本当はアルコール濃度がゼロになるまで起きていて欲しいところですが、30分でもいいので長く起きていて、酔いを醒ましてから寝るのが良いですね。

また、睡眠の質を高めるグリシンというアミノ酸を摂取するのも一つです。グリシンはカニやホタテ、エビなどの魚介類に多く含まれているので、そういうおつまみを食べながら、少しビールを飲むというのも手だと思います。

ただ、やっぱり睡眠のためには飲まない方がいいですね。

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寝るために酒に頼るのはNGということがわかった今回。良い睡眠のためにも、賢くお酒と付き合いたい。

林田順子=取材・文

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