アメリカのカスタム文化をミニカーで味わう
まずは「ホットウィール」というブランドについて。
アメリカの「マテル」という、子供向けのおもちゃメーカーが作っている玩具シリーズのひとつで、同社はあのバービー人形を手がけるメーカーとしても有名だ。
バービーが女の子向け玩具として世界的な人気者に成長していく中、「今度は男の子向けのおもちゃを作ろう!」と始まったのがミニカー。すなわち「ホットウィール」なのだ。
その歴史は長く、今年で56年目。日本でいえば「トミカ」のような、国民的玩具と言えよう。
「ホットウィール」が、ほかのミニカーと違った点は大きく2つ。
ひとつは「足回り」。
それまで左右のタイヤをつなぐシャフトは金属製が一般的であったのに対し、「ホットウィール」はそこに細いピアノ線を使用した。理由はズバリ、スピード。手で押して走らせたときの勢いが一味違う。
もうひとつは、圧倒的なオリジナリティだ。
単純に既存のクルマをスケールダウンしたやつも、もちろん存在するが、豊富なライナップの中で特に存在感を放つのはメーカーによるオリジナルデザイン。
フロントに2つのエンジンを搭載したデザインが特徴的な「ツインミル」。TWIN-MILLさんのニックネームの由来になったモデルである。
そんなホットウィール初のデザインカーとして登場したモデルこそ、「ツインミル」。およそ55年前にデザインされたオリジナルカーだ。
また、実際には車道を走れないカスタムカー、いわゆる“改造車”を気兼ねなく所有できる悦びもある。
「日本だと、改造車ってイメージがよくないじゃないですか。でもそこは、日本とアメリカのカルチャーの違いだと思うんですよ。
アメリカっていうのは、父親がガレージで“クルマいじり”をして、週末になったら子供を連れてレース場に行ってガンガン走らせる。そういった習慣がひとつのスタイルとして確立されているんです」(TWIN-MILLさん、以下同)。
クルマのボンネットのように側面がパカーンと開く。大人気キャストのVW DRAG BUS 「キャンディ・ストライパー(CANDY STRIPER)」
「一方で日本は、どちらかというと家族みんなで旅行やキャンプに行くっていうのが一般的。クルマで公道をブーンとドライブするっていうイメージがありますよね。そういった文化の違いは、ミニカーのディテールにもあらわれています。
例えば、日本のミニカーは、ドアが開くように作られている。対して、ホットウィールはエンジンのつくりを大事にしていて、フロント部分が開くものが多いんです」。
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