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凝ったディテールと尽きない遊び心


ホットウィールは、ディテールへのこだわりがマニアックで細かい。ここで、TWIN-MILLさんが所有する面白いモデルを紹介しよう。

荷台のケージから犬が顔を出している。こちらは初代キャストで、1979年版など、犬が乗っていないタイプも存在する。「1999 フォード F-150 トラック(1999 FORD F-150 TRUCK)」

荷台のケージから犬が顔を出している。こちらは初代キャストで、1979年版など、犬が乗っていないタイプも存在する。「1999 フォード F-150 トラック(1999 FORD F-150 TRUCK)」


見えるだろうか? 後部座席に犬が乗っている、らしい……。

見えるだろうか? こちらの後部座席にも犬が乗っている、らしい……。


バックドアを開けるとミニチュアハーレーが登場。「ミステリーカーV(MYSTERY CAR V)」

バックドアを開けるとミニチュアハーレーが登場。'55 CHEVY PANEL「ミステリーカーV(MYSTERY CAR V)」


トラックの荷台に犬が乗っているもの、ワンボックスカーの後部ドアからハーレーが出てくるもの……さらに、取り外しできるサーフボードを積んだもの、日本のデコトラなどなど、挙げ出したらキリがない。

なんとゴルフティーを搭載しているモデルもある。「ティード オフ(Tee'd Off)」

なんとゴルフティーを搭載しているモデルもある。「ティード オフ(Tee'd Off)」


「実際に使えるゴルフティーを乗せたゴルフカートなんてのもあります。そこにボールを乗せて打ってみた系の動画とか、けっこう出ていて面白いと思いますよ」。

こうしたバラエティに富んだミニカーがいくつも登場する背景には、いい意味で“クルマ馬鹿”なデザイナーたちの影響が大きいという。

ジャイアンツでいえば長嶋茂雄さん的な存在の、ホットウィールのデザイナー ラリー・ウッド氏。

ジャイアンツでいえば長嶋茂雄さん的な存在の、ホットウィールのデザイナー ラリー・ウッド氏。


「ミスター・ホットウィールと呼ばれているラリー・ウッドさんを筆頭に、フィル・リールマンさん、マーク・ジョーンズさん、リュー・アサダさん(故人)など、今も昔も個性の強いデザイナーさんが数多く在籍しているのも特徴だと思います」。

NSXの隣に写っているのがリュー・アサダさん。

NSXの隣に写っているのがリュー・アサダさん。


中でも、日本人デザイナーのリュー・アサダさんにまつわるエピソードが面白いので紹介しておこう。

彼はもともと、クルマのデザイナーを目指して米国アートセンターに通っていたところをマテルにスカウトされ、ホットウィールのデザイナーになった。同社在籍中にデザインした量は半端じゃなくて、“第2のラリー・ウッド”と呼ばれるほどだったそう。

日本特有の“デコトラ”をモチーフにしたモデル。

日本特有の“デコトラ”をモチーフにしたモデル。


「その発想は実にユニークで、こういったデコトラなんかもリューさんがいなければ実現しなかったでしょう。

ほかにも印象的なもの多く、例えば、幼少期にお世話になっていたお医者さんが乗っていたというポルシェのミニカー。トランクに聴診器を積んだデザインになっていました。

また、ここにはないですが、リューさんの実家で乗っていた実車『ホンダ』のプレリュードをミニカーにしたものも発売されました。なんと、ナンバープレートが大阪ナンバーになっているんです!」。



「それに、このホンダのNSXは、リューさんが乗っていた実車をそのままミニカーにしたもので、彼の実績を称えて作られたメモリアルな一品です。ルーフにあるパトライトもちゃんと光ります」。

TWIN-MILLさんがコレクションしているデザインシートの一部。

TWIN-MILLさんがコレクションしているデザインシートの一部。


ちなみに、ラリー・ウッドさんも元は「フォード」で実車づくりに携わっていた根っからのクルマ好き。そんな人たちが同じ作業スペースで、上下関係なく、エンジニアたちと一体となって仕事をしているという点も、ホットウィールの強みなのだろう。

伸びやかな炎のデザイン「フレイムス」は、ホットウィールのアイコン。

伸びやかな炎のデザイン「フレイムス」は、ホットウィールのアイコン。


宝石のようにキラキラした「スペクトラフレーム」や、美しいファイヤーパターンが施された「フレイムス」といった特徴的な塗装やデザインは、どれもアメリカのクルマ文化との結びつきの強さを感じさせる。



「ホットウィールって、分解してカスタムする文化があるんですよね。裏のカシメをドリルで削ってバラすのですが、分解してみると隠れた魅力に出会うことができるんです。

買ってただ飾っておくだけじゃなくて、自分でカスタムすることもできる。そんなところもアメリカっぽいと言えるのかもしれません」。


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