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2024.03.08

からだ

「前兆なし」「1時間に1%ずつ死亡率が上昇」30、40代も警戒すべき”大動脈解離”の危険性

PhylumによるPixabayからの画像

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60代以上が罹る病気だと思われがちな「大動脈解離」。でも実は、30、40代での発症も珍しくないって知ってた? しかも、手遅れになれば死に至ることも……。

ということで、今回は大動脈疾患の国内最多の治療実績を誇る川崎幸病院 川崎大動脈センター長の大島晋先生に話を聞いた。

お話を聞いたのはこの人!
大島 晋●川崎幸病院 川崎大動脈センター長 大動脈外科部長。2009年に産業医科大学を卒業。2011年より川崎幸病院の心臓血管外科に勤める。現在は同院川崎大動脈センター長 大動脈外科部長を務める。大動脈瘤や大動脈解離などの「大動脈疾患」に対する手術を手掛け、国内最多の治療実績を誇る。

大島 晋●川崎幸病院 川崎大動脈センター長 大動脈外科部長。2009年に産業医科大学を卒業。2011年より川崎幸病院の心臓血管外科に勤める。現在は同院川崎大動脈センター長 大動脈外科部長を務める。大動脈瘤や大動脈解離などの「大動脈疾患」に対する手術を手掛け、国内最多の治療実績を誇る。

30、40代も発症リスクのある身近な病気

――そもそも大動脈解離とは、どんな病気ですか?

大動脈は、心臓から全身の臓器へ血液を流す通り道であり、非常に血液量の多い血管です。直径2〜3cmほどの大動脈は、外側から「外膜」「中膜」「内膜」という3つの薄い膜で構成されています。

しかし、内膜に何らかの原因で亀裂が入り、そこから中膜の隙間に血液が流れ込んで血管が縦方向に裂ける病気が大動脈解離です。

発症後すぐに治療を行わないと命に関わることもある危険な病気で、「スタンフォードA型」と「スタンフォードB型」の2型に分けられます。

――どういった違いがありますか?

「スタンフォードA型」は、心臓に近い上行大動脈が解離しているケース。発症後すぐに危険な状態となり、発症から1時間ごとに1%ずつ死亡率が上昇すると言われています。

急死に至る心筋梗塞、心タンポナーデ、急性心不全などの合併症を引き起こすことがあるので、裂けた血管を人工血管に変える手術を行う必要があります。

――怖い病気ですね……。「スタンフォードB型」は?

「スタンフォードB型」は、背中やお腹へ向かう下行大動脈が主に解離するケースをいいます。

A型ほど死亡率は高くありませんが、臓器に血液が送られなくなり、障害を起こすことがあるので、その場合は手術が必要になることがあります。それ以外は、血圧管理と解離がそれ以上進行しないようにする治療を行います。

――高齢者の病気というイメージですが、実際は?

60代以上に多い病気ですが、当院の患者の10%ほどは30、40代の男性で、決して大動脈解離=高齢者の病気というわけではありません。比較的男性に多い病気です。


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