OCEANS

SHARE

お笑いがコミュニケーションのハードルを下げてくれる



編集部 なぜ、コミュニケーションにおいて笑いが必要なのでしょうか?

矢島さん 笑いって言いづらいことを言いやすくするための突破口になるんですよね。例えば、みんなで意見を出すような場で、「誰か意見がある人!……って言っても言いにくいよなー」という上司の一言で空気が和んだみたいな経験ってあると思うんですけど、そういう小ネタが突破口になることってありませんか?笑いにはそういうアイスブレイク的な効果があるなと思います。真之介 はどう?

野村さん 質問なんでしたっけ?

矢島さん えっ!??

野村さん ごめん、ごめん(笑)。僕にとってはあまりにもお笑いが身近すぎて……。うーん、なんだろうな。お笑いがコミュニケーションのハードルを下げてくれる感じはありますよね。僕は緊張しいなんですけど、一回笑いが起こると、「こんなこと言って良い場所なんだ」と安心できる。笑いがあると本音を言える場所になるんだろうなと思いますよね。

矢島さん 笑いがあるかないかで、クラスの空気とか全然違うよね。

野村さん 違うね。同じネタをやっても、笑いが起きるクラスと全然ウケないクラスがあるけど、笑いが起きるクラスって、友達同士のコミュニケーションも活発だし、授業の理解度も高いんですよね。

矢島さん 先生との信頼関係があるクラスも反応が良いよね。

野村さん そうそう。仲の良い学校だと、先生が前に出るだけで笑いが起きるよね。裏を返すと関係がギクシャクしているクラスだと笑いが起きづらかったりします。
 


編集部 ちょっとギクシャクしているクラスが、オシエルズの授業を通して変わっていくことはありますか?

矢島さん コミュニケーション不全というのは共通言語がないことが理由だったりするので、僕たちは共通言語を作る手助けをしている感じです。笑いが起きたら「これは全体で笑って良いことなんだ」と共有できるわけですよね。修学旅行や文化祭などの行事で仲良くなるのと同じで、授業の50分間で一緒に笑い合えたことは思い出になる。それが「一緒に笑ったこと」という共通言語になるし、コミュニティの帰属意識にもなるんだと思います。

編集部 笑いには「良い笑い」だけでなく人を傷つける笑いもあるということで、お二人も「いじり」と「笑い」の線引きについても教えているんですよね。どんなことを伝えているのでしょうか?

矢島さん 自分の話をしますね。小学校4年生の頃太っていて、仲の良い友達からデブとかゴリラとか呼ばれるようになったんです。そういう話をして、「人が気にしていることを、あだ名にしていじっちゃうことってあるよね」とか問いかけると、どこからともなくクスクス笑いが聞こえるんですよ。

それはきっと誰かが同じようにいじめられているということだと察するんです。「俺は、嫌なあだ名で呼ばれた時、学校に行きたくなかったけどね」と、自分のエピソードを伝えると、生徒たちも自分ごととして考えてくれる感じはありますね。

野村さん そうだね。僕も「誰かがモヤっとする笑いはだめだよ」という話をした時に、生徒から感想をもらって。「今まであだ名で呼ばれていたけど、みんなが笑うから良いと思っていた。でも、授業を通して自分にとっては嫌な笑いだったんだと気づいた。先生に伝えたら、あだ名で呼ばれなくなった。ありがとう」と。

笑いって楽しいから、良いものなんだと思いがちで、誰かが傷ついていることに気がつかないこともある。なので、人を傷つける笑いもあると伝えることが大事なんだと思っています。


3/5

次の記事を読み込んでいます。