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2024.01.19

キャデラック「エスカレード」を3人のジャーナリストが試乗。評価は概ね「乗って損なし」

運転席正面のデジタルメータークラスターと左右のディスプレイは、ドライバーに向けて湾曲させることで視認性を高め、さらに4Kテレビの2倍の高精細度を誇る。36個のスピーカーを備えたAKG製3Dサラウンド・サウンドシステムも特筆で、コンサートホールさながらの音響空間を楽しめる。1740万円〜。

運転席正面のデジタルメータークラスターと左右のディスプレイは、ドライバーに向けて湾曲させることで視認性を高め、さらに4Kテレビの2倍の高精細度を誇る。36個のスピーカーを備えたAKG製3Dサラウンド・サウンドシステムも特筆で、コンサートホールさながらの音響空間を楽しめる。1740万円〜。

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威風堂々とした佇まいで比類なき存在感を放つプレミアムSUV「エスカレード」。

新型はホイールベースを120mm延長させるとともに、リアサスペンションを一新することで居住性を向上。正規輸入SUVの中では最大級の車を、3人の識者が試乗して語る。

本懐は大らかな乗り味

全長5400mm、全幅2065mm、全高1930mm。キャデラックのフラッグシップモデルであるエスカレードは、かのロールス・ロイス カリナンをも上回り、日本で販売される正規輸入SUVの中では最大級の車格です。

当然ながらの3列シートで中央列は2座の独立キャプテンシートを配置、3列目の3人乗りベンチシートにはキャプテンシートの間からでも余裕で出入りできます。
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そして7人フル乗車状態でも荷室容量は722Lを確保とユーティリティは逐一、桁違い。狭い日本の街中での取り回しは確かに厳しいのですが、そんな個性をプラスに転化できる人にとっては代わりのない選択肢です。

プレステージが高く、装備も後載せの必要がないくらいに充実、AKGのオーディオも素晴らしいサウンドを聴かせてくれます。

でも、やっぱり注目してほしいのはいかにも大陸生まれらしい、その大らかな乗り味。曲がったり停まったりということも旧型に比べると随分器用になりましたが、本懐は高速道路をひた走るロングツーリングです。

飛ばさずとも広大な空間とまろやかな乗り味で心満たされる、アメ車に期待する牧歌的な世界観はエスカレードならではの魅力です。

自動車ライター
渡辺敏史

出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。


2/2

夢を与える、この存在感

「2023年車業界びっくり大賞」の有力候補が、トヨタのセンチュリーがSUVになったことだ。

まっ、ベントレーやロールス・ロイスを見ても、腰を折り曲げずに後席にアクセスでき、頭上空間も余裕があるSUVのほうが、実はセダンよりもショーファーカーに向いているのかもしれない。

ショーファーカーのSUV化について考えると、レンジローバーを愛用していた故エリザベス女王は時代の先を行っていたと、感嘆せずにはいられない。

いやいや、快適性競争だったら日本のミニバンの右に出るモノはないでしょう、という声も理解できる。
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でもここで大事なのは、皆さんの会社の社長が、あるいは皆さん自身が、どの車から降り立ったらかっちょいいか、ということだ。

若手から「ああなりたい」と憧れられる存在になれるか、という視点で選ぶと、キャデラックのエスカレードが浮上してくる。ヒップホップの成功者が愛用する尖ったデザインのこの車の後席に座る人は、最新のストリートカルチャーを理解している(ように見える)。

休日に、超パワフルなこの車を軽々と転がしてサーフィンに行っちゃうくらいアクティブな社長が、今の時代は格好いい。エラい人は、若者に夢を与えてほしい。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/エディター。エスカレードに久しぶりに試乗、ハイテクが実現した快適性と安全性に大きな感銘を受けたとか。「これぞアメリカン・ラグジュアリーの神髄、あの国の底力はすごい」。


着座位置でキングを目指せ

ハタ目にはもちろん、遠目にもデカい乗用車などそうそうない。よじ登るようにして乗り込む運転席からの眺めはほとんどバス。

実際、走り出せば並んだバスやトラックと同じ高さに思えるし、いつもはデカいツラのGクラスがジムニー、アルファードがワゴンRくらいに見える。

これだけ大きいと運転がストレスになる? 心配ご無用。見晴らし良く車両感覚も掴みやすいのでバスが行き交う街中ならさほど苦労しない。圧巻は高速ドライブ。90km/h前後のクルージングが最高だ。

皆がSUVに乗りたがる理由は高い視線が欲しいから。ミニバンの流行以来、着座位置はセダンより高くなり、周りが高くなるにつれ自分も高くしなければ落ち着かなくなった。

ひとたび高い視点に慣れてしまえばもう低い車には戻れない。それどころかより高い位置を求める。

その終着点がエスカレードかもしれないが、さすがにそれじゃエスカレートしすぎというもので、多くのユーザーはアルファードやGクラスあたりに落ち着く。それでもたいていの車を見下ろしながら運転できるわけだから。

ということは、だ。思い切ってエスカレードならいきなり「道の王様」に。キングになるチャンスですぞ。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。所有する愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。
この記事は、オーシャンズ2月号のほんの一部。すべての特集は本誌でチェック!

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