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2024.01.13

片道乗り捨て無料の格安レンタカー「カタレン」。長距離片道利用は今後当たり前になる?

Pathfinder 代表取締役 小野﨑悠介

Pathfinder 代表取締役 小野﨑悠介


当記事は「Forbes JAPAN」の提供記事です。元記事はこちら。

レンタカーは片道利用が当たり前。そんな時代が近い将来やってくるかも知れない。東京・大阪間のレンタカー片道利用が10時間5000円で、乗り捨て料金不要。昨今、破格の料金設定で人気を集めるサービスがある。モビリティスタートアップのPathfinderが提供する「カタレン」だ。

2020年末に実施されたβ版モニターの募集には、約5500人から応募が殺到。その後コロナ禍での移動制限を経て2022年3月にローンチされたサービスの会員数は現在、約1万5000人に。すでに大手レンタカー会社複数社とコインパーキングを運営する三菱地所パークスと契約を締結し、2024年からは順次、協業を予定している。

果たしてPathfinderはどのように格安の片道レンタカーサービスを実現したのか。そして同社が描く自動運転時代の最適配置プラットフォームとは。


大手の「やりにくさ」に「商機」あり

年間576万回ーー。これはレンタカー業界で発生するある「無駄」の数だが、何かお分かりになるだろうか。

答えは、車両の回送数だ。道路運送車両法により、レンタカー会社は一定期間内に車両を貸し出し店舗へ戻すことが定められている。そのためコストをかけて車両を回送しており、総額は業界で年間50億円に上る(Pathfinder調べ)。
 
ユーザーもその皺寄せを受けている。例えば、大手レンタカー会社を通して乗用車クラスの車両を東京都心の店舗から大阪市中心部の店舗まで片道でレンタルした場合、乗り捨て料金は3万5750円かかる。基本料金の7150円(コンパクトカークラス・10時間)と合わせると、利用料金は4万円を上回る。

しかし、前述したPathfinderの片道レンタカーサービス「カタレン」の場合、同区間の利用料金は5000円。大手レンタカー会社の1/8以下に押さえられ、そこに車両の回送コストが織り込まれているようには見えない。破格の料金を実現したからくりは、どのようなものか。同社の代表取締役 小野﨑悠介は、次のように説明する。

片道専用レンタカーサービス「カタレン」

片道専用レンタカーサービス「カタレン」


「回送が必要なレンタカー車両と、片道でレンタカーを利用したいユーザーとをマッチングし、ユーザーに車両を貸出店舗へ戻してもらいます。それによって、レンタカー会社は車両の回送にかかる手間とコストを削減でき、ユーザーは安価で片道レンタカーを利用できます。レンタカー会社とユーザー、双方から収入を得るビジネスモデルです」

2023年12月現在、「カタレン」は東京から名古屋・京都・大阪間を結ぶ東名阪エリアと、東京・新横浜から成田空港間、北海道や九州で路線を設定。自社車両30台と、提携先のニコニコレンタカーの回送車両を使ってサービスを運用している。

実は一部の大手レンタカー会社も、ユーザーマッチングによる片道レンタカーサービスを提供している。しかし認知度は低く、利用は広がっていないという。そこに「カタレン」の商機が存在する。

まずは既存事業とのバッティングだ。大手レンタカー会社が通常の片道レンタカーサービスに加え、ユーザーマッチングによる格安片道レンタカーサービスを提供した場合、両事業で売上を奪い合うリスクがある。また、後者のサービスでは大きなシェアと集客力を持つレンタカー会社でないと、片道レンタカーで安定した車両の供給やマッチングが難しいという問題もある。

「我々はプラットフォーマーなので、既存事業とのカニバリゼーションの心配がありません。また、複数のレンタカー会社と協業し、その回送車での運用も想定しているので、車両の供給やマッチングを安定させやすい強みがあります」
 



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