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ニオイ対策は夏だけしていればいい。そう思っているなら大間違い。特に忘年会から新年会と酒席が増えるこのシーズン、お酒を飲んだ翌日は要注意だ。自分が気付いていないだけで、周りはあなたの「皮膚ガス」由来の悪臭にマイッているかも……。
今回は皮膚ガス研究の第一人者、関根嘉香先生に「酒」と「体臭」の関係と解決法について教えてもらった。
話を聞いたのはこの人! 関根嘉香●東海大学理学部化学科教授。慶応義塾大学大学院非常勤講師。室内環境学会元理事長。専門は環境化学、皮膚ガス学。生体ガスの情報伝達機能に関する研究や、シックハウス症候群の予防・改善に関する研究などに取り組む。
中高年から増える「皮膚ガス」とは?
――そもそも皮膚ガスって何でしょうか? 皮膚ガスとは、体臭のもとになるものです。臭いというのはあくまで嗅覚による感覚で、人の体表面からは微量なガスが出ており、それが鼻に到達すると体臭として感じるわけです。
――体臭は人によって違いますよね? 現在の研究では皮膚ガスの種類は800ほど発見されていて、人によって皮膚ガスの種類や量は違います。つまり、体臭は個性。個人認証できるくらい人それぞれ違うんですよ。
皮膚ガスの発生経路は表面反応由来、皮膚腺由来、血液由来とあって、食事などの生活環境や行動、また体調や精神状態によって、また1日の中でも種類や量が変わります。
――「おじさん=クサイ」と思われがちですが……。 臭いはイメージによるところも大きくて、例えばおじいちゃん子で育った方の場合は、その臭いがどこか懐かしく感じられるかもしれません。一般的に古本や枯れ葉のような臭いとされる「加齢臭」、チーズのような「ミドル脂臭」、それらのもとになる「皮膚ガス」が男性中高年で増える傾向にあります。
加齢臭のもとになる皮膚ガスは「2-ノネナール」です。皮脂が酸化すると出てきます。中高年は若い頃よりも皮脂の分泌量が減りますが、皮脂の中の成分が年齢によって変わり、2-ノネナールのもとになる成分が増えてしまうんです。若い方はこの皮膚ガスがほとんど出ません。
30代、40代の方に多い皮膚ガスが、ミドル脂臭のもとになる「ジアセチル」です。この成分は、身体を動かすことで出てくる汗の中の乳酸。活動的なライフスタイルを送っている方は、ジアセチルの量が多いようです。
――でも、昭和のお父さんのような強烈な臭いを発している方はほとんどいませんよね……。 当時は、ポマードという整髪料をつけている方が多かったですよね。調香師の方に伺ったところ、加齢臭との相性が非常に悪かったようです。OCEANS世代から多く発せられている、2-ノネナールやジアセチルは皮膚の表面でできるので、基本的に洗えば落ちます。シャワーやお風呂に入って、皮脂量が多い首などを丁寧に洗えば、特有の臭いはかなり軽減できるはずです。
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