連載「イタリア人マッシのブオーノ・ニッポン!」とは…… ティラミスにマリトッツォ、イタリアのスイーツは日本でブームを巻き起こすが、その逆もまた然り。
マッシさん曰く、今やイタリア人が日本に来たら必ず食べるのはメロンパン……というくらい大人気だとか。
▶︎すべての写真を見る 案内人はこの方! マッシミリアーノ・スガイ●1983年生まれ、日本食が大好きなイタリア人フードライター。 KADOKAWAよりフードエッセイ『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』を出版。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で発信中。
イタリア人を魅了する日本生まれのメロンパン
ひとつの商品に、サクサクとふわふわの食感がある。ひと口目から幸せになるほど、シンプルで恋に落ちてしまう味わい。日本人にとって当たり前になっている食感と味が、実は世界中に広がっているのだ。
数年前から僕だけではなく多くのイタリア人がメロンパンと恋に落ちたようで、今やイタリア国内でも流行っているということだ。
今回はイタリア現地調査とイタリア人への取材をして、日本独特の菓子パンであるメロンパンについて、書きたいと思う。
丸くて可愛い。メロンのような形をしつつ、メロンの味がしない。日本のパン業界ではトップクラスの人気と言っても過言ではないメロンパン。海外にありそうなので、海外発祥だと思われることもあるかもしれないけど、実は日本国籍なのだ。
諸説あるけど、メロンパンが生まれたのは1930年代。神戸市にある「金生堂(きんせいどう)」のサンライズという商品が起源だそう。のちに商品名は「メロンパン」に変わったが、神戸では今でもメロンパンを「サンライズ」と呼ぶところがあるそうだ。
1930年代以降のメロンパンは想像以上に進化して、数え切れないほどバリエーションが増えた。クリーム入り、チョコチップ、チョコメロンパン、コラボ限定、アイス入り、生メロンパン、抹茶やレモンなどの味もたくさん。ミニ、デカい、デニッシュなどの種類もある。その日の気分で食べたい味とサイズを選べることは強い魅力のひとつである。
イタリアの菓子パンは子供の頃からずっと食べているので、大人になってからも食べる習慣が残っている。イタリア人が好きな食感は硬めだ。パスタはアルデンテ、パンはハード系、多くの焼き菓子が硬い、ピッツァの耳もカリカリ。
イタリアでも日本の菓子パンのようなものがないこともない。シンプルなブリオッシュ生地をベースにしたパンオショコラなど、そこから形と味を変えたものがある。
ところが、日本のスーパーで売られているような柔らかい系であったりさまざまな種類であったり、そういったものはない。日本の菓子パンの方がレベルが高くて食べ応えがある。
イタリア人は飲まないけど僕は日本発祥のアイスコーヒーも大好き。
イタリアに行かれた方は既にわかっていると思うけど、イタリアのスイーツは甘い。とにかく、甘い。砂糖とバターの量が恐ろしい。日本でも有名な話だけど、少なめのエスプレッソに砂糖はスプーン2〜3杯。苦いエスプレッソを甘くさせるという。
さて、ここからは僕が取材した日本在住の3名のイタリア人のコメントも合わせて、メロンパンの魅力について紹介しよう。
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