連載「酒好きのための酒HACK」とは…… 悪酔いや
二日酔いのメカニズムが分かったところで、次に知りたいのはどうしたらこれらを回避できるかということだろう。
今回も医師の秋津壽男先生に、悪酔いや二日酔いをしないための「体に良い飲み方」を聞いた。
話を聞いたのはこの人! 秋津壽男●1954年生まれ。内科医。和歌山県立医科大学を卒業後、同大学循環器内科に入局。1998年、秋津医院を開業。数々のメディアにも出演。著書に『酒好き医師が教える 薬になるお酒の飲み方』(日本文芸社)など。
「酒を飲めばだんだん強くなる」はウソ
――2回にわたって、悪酔いと二日酔いについて伺いましたが、今回はどのようにしたらならないかを教えてください。 まず、いちばんの基本は
自分がどれぐらいのアルコールを摂取できるのかを知ることでしょう。これは水分量ではなくて、アルコール度数の量ですね。
例えば、家など安全で人に迷惑をかけないところで、自分がどれぐらい飲んだら悪酔いするのかを身をもって知っておくことです。1回潰れれば、自ずと自分が飲める量がわかるでしょう。
これは子供が成人したときにもぜひやってもらいたい。大学生や社会人になって初めてお酒を飲むときに、周りの勢いや雰囲気に流されて飲んでしまうと、失敗するリスクが非常に高い。
昨日どれだけの量を飲んだか、そして翌朝はどんな状態なのかを確認して、教えてあげることも親の務めだと思っています。
――なるほど。でもお酒って、飲んでいればだんだん強くなるものですよね。 そうとは言えません。お酒が強い、弱いというのは、
アルコールを分解する酵素の活性遺伝子の型によると言われています。
――遺伝子ですか? はい。遺伝子というのは2つがペアになっています。2つとも強い遺伝子を持っている人は、お酒がものすごく強い。次に片方は強いけれど、片方は弱い人。こういう人は、強い方が頑張ればお酒を処理できるようになるので、トレーニング次第で飲めるようになります。
最後に両方とも弱い人。この遺伝子を持つ人は、いくらトレーニングをしてもまず強くなりません。注射を打つ前の消毒用のアルコールだけで皮膚が赤くなる人、奈良漬だけで顔が赤くなる人、こういう方は両方の遺伝子とも弱いので、努力しても無駄です。
――自分が飲んで強くなったからと言って、他の人もそうだと思うのは間違いってことですね。 そうです。だから無理に飲んだり、飲ませたりすると、急性アルコール中毒になってしまう。また
お酒の強い、弱いというのは、半分は遺伝とも言われています。
外国人に比べて日本人の方が酒に弱いのも、そのためです。日本人の中でも、沖縄や鹿児島、宮崎、高知など、縄文系の祖先を持つ方はお酒に強い傾向があり、弥生系の方は弱い傾向にあるとも言われています。
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