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2023年のMVPカー

大変に失礼ながら、「またお前か」と思ったわけです。コンパクト〜ミディアムサイズのSUVが毎週のように発表されていて、もうお腹いっぱいというか。

ルックスも派手にアピールするわけではなく、どちらかといえば控えめな佇まい。

ところがどうでしょう。乗ってみると、心地良い加速といい、快適な乗り心地といい、爽やかなハンドリングといい、モノが違う。

おまけに室内も広いから実用的。コスパまで含めると2023年のMVPで、家族にも友人にも自信を持っておすすめできる。

試乗を終えて改めて外観を眺めると、清々しい雰囲気が好ましく思えてきた。同じクラスの地味で目立たない女子が、じっくり見たら実はめっちゃ可愛かった感じ。

昔からホンダの名車は、隣に外車が並んでも胸を張れた。初代シビックの隣にゴルフが来ても、初代シティの横にミニが停まっても、初代NSXがフェラーリとすれ違っても、オーナーの心は揺れない。

なぜなら、「こっち(ホンダ)のほうがクールで賢い選択」だと思えるからで、この車からも同じ匂いを感じる。

街でコイツを見かけたら、「いい買い物をしましたね」と話しかけるとキモいので、心の中でつぶやきます。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/エディター。元ラグビー部だけに、W杯期間中は毎日がお祭り。「でもよく考えたら2022年の暮れから、サッカーW杯、女子サッカーW杯、バスケW杯と、ずっとお祭りですね」。


ホンダの次なるベーシック

昔ながらのホンダファンには信じられないことに、今やこのZR-VというコンパクトSUVがホンダ(軽自動車以外)のライス&ミソスープカーなのだ。要するにシビックの今風。

もちろんシビックというモデルはほかにちゃんと存在するのだけれど、今はSUVが乗用車としてノーマルな時代。そういう意味ではシビック・シャトルの現代版か、なんて言ってもそれこそ知ってる人は少ないか。

とにかくZR-Vはホンダ乗用車の核となるモデルというわけだ。

それゆえデザインやら使い勝手やら性能やら、すべてがソツなくまとめられている。飛び抜けて印象的とは言い難い。けれどもシビックに比べて随分と扱いやすくなった。

乗り心地は少しばかり硬めの印象もあるが、左右への動きは比較的マイルドに仕立てられている。

空いたカントリーロードなどで頑張って走らせてみてもドライバーにしっかり合わせてくるあたり、往年のホンダ車らしさも少しは残っていた。

気になるのは燃費。今どきのハイブリッドだと思って乗っていると、伸びない燃費に愕然としてしまう。日常使いのための車としてはそこが物足りなく思った。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。所有する愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。


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