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2023.10.23

ファッション

「トレンドは追わない」パタゴニアの米国ディレクターに聞く2023秋冬コレクションの魅力


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創業50年を迎えたパタゴニア。「ナチュラルアイコン」と題し、天然回帰をテーマに掲げた秋冬コレクションを展開しているが、興味深いのは過去の人気アイテムを天然素材で蘇らせたという点だ。

パタゴニア本社でグローバル・プロダクト・ライン・ディレクターを務めるマーク・リトルがその魅力を紹介。50周年を迎えたパタゴニアの展望についても聞いた。

「50周年コレクションは、自分たちが作っていて楽しいものを形にしました」。終始フレンドリーで茶目っ気たっぷりだったマーク。

「50周年コレクションは、自分たちが作っていて楽しいものを形にしました」。終始フレンドリーで茶目っ気たっぷりだったマーク。


8年越しの実現! 植物由来のワックスコットン

秋冬コレクションの目玉でマークいちばんのお気に入りがこちら、「ワックスド・コットン・ジャケット」だ。

パタゴニア初となる天然素材のシェル。化繊にはない柔らかな手触りも魅力だ。「ワックスド・コットン・ジャケット」5万5000円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス 0800-8887-447)

パタゴニア初となる天然素材のシェル。化繊にはない柔らかな手触りも魅力だ。「ワックスド・コットン・ジャケット」5万5000円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス 0800-8887-447)


パタゴニアを象徴する人気モデル「スーパーアルパインジャケット」からインスパイアされたデザインで、長年越しの努力が実って開発したパラフィン不使用のワックスコットンが最大のポイント。

「この『ワックスド・コットン・ジャケット』は、僕がいちばん楽しみにしていたアイテムです。8年をかけてようやく製品化できたんですよ。

スコットランドの老舗、ハレー・スティーブンソン社と共同開発した天然素材のワックスを施していますが、ワックスは食品廃棄物となったオリーブオイルやひまわりオイル。

生地はコットン・イン・コンバージョン100%(※1)で、パタゴニア初のナチュラルなシェルと言えますね」。

(※1)オーガニック認証を待つ農家が育てたオーガニックコットンのこと。認証を受けるまでに要する時間は3年。その間、厳しくなる農家の収入を確保するため、パタゴニアが独自に取り入れたプログラム。

ワックスコットンのメンテナンスには注意が必要。洗濯機と乾燥機の使用NGで水洗いのみOK。防水性を復元するには、2~3年に1度、別売りのワックスを塗布するのがおすすめ。

ワックスコットンのメンテナンスには注意が必要。洗濯機と乾燥機の使用NGで水洗いのみOK。防水性を復元するには、2~3年に1度、別売りのワックスを塗布するのがおすすめ。


防水や防風、防雨といえば化繊に勝るものはないはずだが、なぜあえて天然素材にこだわったのか。

「簡単な登山や街着の場合、必ずしも化繊である必要はありません。この植物由来のワックスも機能面で優れているんですよ。温かい日はワックス素材が柔らかくなる分、動きやすくなり、また吸水速乾性も上がります。

逆に、寒い日や風が強い日はコットンが固くなるため、防水・防風の機能が上がるんです。着ていて本当に気持ちのいい一枚です」。

化繊では味わえない柔らかさは天然素材のなせる技だが、マットな質感の落ち着いた雰囲気も、日々のファッションと馴染みが良さそうだ。ちなみに「ナチュラルアイコン」の製品はすべて“ジェンダーインクルーシブ”を採用。男女兼用になっている。



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