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2023.10.13

ライフ

新日本プロレスのエースが語るアントニオ猪木の記憶「いい面も悪い面もあるから本物」

新日本プロレスのエース・棚橋弘至さんが見てきたアントニオ猪木さんとは?(撮影:今井康一)

新日本プロレスのエース・棚橋弘至さんが見てきたアントニオ猪木さんとは?(撮影:今井康一)


当記事は、「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら

2022年10月1日に死去したアントニオ猪木氏。プロレスラーとして数々の名勝負を繰り広げた一方、政界、ビジネス界、芸能界などリング外でも獅子奮迅。多くの功績を残しつつ、その破天荒さゆえに物議を醸すこともしばしばだった。

世間の常識など歯牙にもかけず、壮大かつ型破りな生き様を歩み続けてきた猪木氏を、新日本プロレスのエース・棚橋弘至選手はどう見てきたのか。

弘至の「至」は、猪木さんの名前からもらった

――まず棚橋さんと猪木さんの関係性について教えてください。

プロレスファンだった大学生のころは、猪木さんの試合を熱中して見ていましたね。実は父親も猪木さんのファンで、弘至の「至」は(猪木さんの名前の)「寛至」からもらったのだと、後から教えられました。「導かれてるじゃん!」って。

ただプロレスラーになってから、猪木さんとの接点はそんなにありませんでした。僕が新日本プロレスに入門した1999年、猪木さんは新日本プロレスの会長で、道場にいらっしゃることはもうあまりなくて。東京ドーム大会などビッグマッチの会場に来て、「1、2、3、ダー!」をして帰られる、という感じでしたね。ごあいさつできたのも、デビューしてしばらく経ってからでした。

棚橋弘至さんとアントニオ猪木さん(写真提供:新日本プロレス)

棚橋弘至さんとアントニオ猪木さん(写真提供:新日本プロレス)


――棚橋さんから見て、猪木さんのすごさは何だと思いますか?

誰もしないことに挑戦し続けるパイオニアであることですかね。アントン・ハイセル(※1)にしても、モハメド・アリ戦にしても、採算度外視で、あと先考えずに「面白いか」「面白くないか」だけで判断していくのが、強みというかすごいところです。大借金を抱えて、それを返していくのが(新日本プロレスの)坂口征二相談役でしたけど(笑)。

猪木さんには、社会にプロレスを認めさせたいっていう、マイノリティがゆえの反骨心もずっとあったんだと思います。

(※1:世界のエネルギー問題、食糧問題を解決するために猪木氏が立ち上げ、失敗して多額の負債を抱えたバイオテクノロジー事業)


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