現在、あやめさんがコーチングを担当しているのは学生から30歳手前ぐらいの社会人が多い。基本は相手の事情や悩みを聞くスタイルで、そこから今後の方向性を導き出す。このようにして、これまでに200人以上のコーチング実績を築き上げてきた。
一方、あやめさん自身も3年ほど前から外部のコーチにコーチングを受けており、その効果を実感しているそうだ。
「結果的に人生がだいぶ変わりました。『自分はどんなときがいちばん生きいきとしているか』というテーマでコーチと対話をするうちに、私は大好きな子供と触れ合っているときだなと再認識したんです。
このやり取りを経て、去年から副業で保育園とベビーシッターの仕事を始めました。仕事の合間にたまにですけど」。
見よ、この生きいきとした表情を。
また、これまでは、大学生から若手社会人の方々が集まって過去と今後の人生について語り合う「ライフデザインスクール」というイベントを開催してきたが、最近はもう少し広い世代同士がつながる「コミュニティディナー」に力を入れている。
大皿料理を囲んで参加者同士が一期一会の対話を楽しむスタイル。
はぐくむでは他にも自律的で多様な社会と出会える「はぐくむツアー」も企画しているが、あやめさんが最近感銘を受けたのはデンマークツアーでのこと。
「現地の小中学校やインターナショナルスクールなどを見学したんですが、『森のようちえん』はめちゃめちゃよかった。森の中に先生と子供たちが一緒に作ったスポットがたくさんあるんです。
子供たちは秘密基地みたいな場所に案内してくれたり、空のコップで架空の飲み物を飲んだりして一緒に遊んでくれました」。
野外での自然体験活動を軸とした子育幼少期教育を行う。
食事も美味しかったという。感動したのは「スモーブロー」というデンマークでは定番のオープンサンド。
バターを塗ったライ麦パンにさまざまな具材が乗っている。
ひと通り話を聞けたところで、カフェの店内を案内してもらった。まずは壁際の棚から。
何やらいろんなものが置いてある。
「ここにある本はどれでも借りられます。カフェ内図書館ですね」とあやめさん。
完全に性善説に立ったサービス。
野菜もありますが?
「世田谷区内の『はぐくむFARM』という畑で私たちが作っている野菜です。そこでの農業体験や野菜をテーマにしたワークショップも行っています」。
有機栽培で育てられたナスやピーマン。
ところで、ずっと気になっていたんですが棚といい天井といい、何か特殊な素材を使っているんでしょうか。
「『紙管』という紙製の筒を組み合わせたものです。坂茂さんという世界的な有名な建築家に依頼して設計してもらいました。このすぐ近くに事務所があるんですよ」。
紙管は軽量なのに強度があり、再生可能な素材という特徴も持つ。
坂さんの本もあった。
1985年から2015年までの作品を網羅した1冊。
最後に、ここはカフェ。何か食べて帰ろう。
どれも美味しそうだ。
「人気なのはヴィーガンプレートですね。タマネギ、ニンジン、オートミールで作ったカツをぜひ味わってみてください」。
運ばれてきたのがこちら。
無農薬野菜のサラダに副菜が付いている。本気で美味しかった。精進料理が元祖ヴィーガン料理という説もあるが、こういうものを食べ続けていると悟りを開けるのかもしれない。
ごちそうさまでした。では、読者へのメッセージをお願いします。
コーチングの際に湖畔のような気持ちで寄り添うというのが店名の由来。
[取材協力]はぐくむhttps://hagukumu.co.jpはぐくむ湖畔https://hagukumukohan.com