「弊社の看板娘」とは…… はるか昔の成人式。初めてスーツを買ってもらったわけだが、ネクタイの締め方もわからないうえにまったく着こなせていなかった記憶がある。今回はそんなことを思い出した取材となった。
訪れたのは紳士服の売上高が国内2位で、約500店舗を展開する「AOKI」の横浜港北総本店。
総本店だけあって老舗百貨店のような貫禄ある佇まい。
【写真20点】紳士服のAOKIで働く看板娘を写真でチェック まずは、併設する本社にお邪魔します。
こちらは商談ブース。
その奥の会議室では社内プレゼンの真っ最中だった。
やたらと明るい雰囲気。
モニターの資料について説明している女性こそが、マーケティング本部で広報を担当する看板娘。さっそく、ご登場いただきましょう。
「よろしくお願いします」。
こちらは広報室の比本佳奈さん。大林宣彦監督による映画、「尾道三部作」で知られる広島県尾道市で生まれ育った。
「自分にとっては海と山に囲まれた静かな町。祖父母の家が目の前の向島にあったので、小学校の夏休みは毎日朝から海に通って遊んでいました」。
また、とにかく走るのが好きな子供だったという。
幼稚園の運動会で力走を見せる佳奈さん。
中高を経て大学は神戸市内の女子大に進学。英語を専攻し、オーストラリアのアデレードに短期留学もした。
「意外に思われるかもしれませんが、食が本当に美味しいんです。とくに、大学の近くの露天で売っている200円ぐらいのミートパイが気に入って毎日食べていました」。
鳥の生態を調べて英語で発表するという授業にて(左は担任の先生)。
走るのが好きな佳奈さんは大学4年生の時にホノルルマラソンに出場した。
「ホノルルマラソンは足切りがないんですよ。なので、なんとか6時間45分でゴールすることができました。ダイヤモンドヘッドのあたりは景色を楽しむ余裕もありますが、その後のハイウェイをひたすら走って往復するコースは自分との闘いです」。
ホノルルマラソンが開催されるのは毎年12月。会社が繁忙期という事もあり、社会人になってからはなかなか参加を果たせない。しかし、現在も自宅の周囲をランニングするという日課は欠かさないそうだ。
心拍数、ストレス度、呼吸数、消費カロリーなどを記録するスポーツウォッチ。
人と関わる仕事がしたかったが、業界事情もよくわからなかったため、銀行、旅行、代理店、IT関係、アパレルなど、さまざまな企業を検討。最終的にAOKIに就職した。
「人も雰囲気もいいなと感じたからです。また、若手にチャンスを与えてくれる会社という印象を受けたうえに、グループ内ではアパレル以外にもエンターテインメントやブライダルの事業も展開していて、活躍の幅が広そうだなと思いました」。
最初に配属されたのは名古屋の店舗。その後、福岡、熊本と異動した。
「スーツの名称、素材、サイズ感など、覚えることがたくさんあります。さらに、お客様によって、色柄、着心地のお好み、TPO、シーンなどのご要望が違うので、最初はその場ですぐにお応えするのが難しかったですね」。
福岡の店舗から異動する際の送別会のときに、サプライズで用意してもらったプレート。
やりがいは、お客様が気付いていないファッションの楽しさ、スーツを選ぶ楽しさを提供すること。
「以前、入学式用のスーツをご両親と一緒に買いにいらしたお客様が、『いろいろ見て回ったけどどれがいいのかわからない』とおっしゃっていて。
そこで、サイズ感を合わせ、その後の用途も含めて、ご本人のご要望を伺いながらご提案。結果的に『すごくいい買い物ができた』と喜んでいただけました。さらに、2、3年後に弟さんが『兄への接客がよかったらしいのでスーツを買いに来ました』とご来店くださったのは嬉しかったですね」。
閑散期の8月には友人と毎年海外旅行に出かける。コロナ前の最後の旅行は“大自然に触れる”をコンセプトにハワイ旅行へ。海上でのパラセイリングやダイヤモンドヘッド登頂も満喫した。
ダイヤモンドヘッド・トレイルの山頂は232m。
販売職を経て、現在の本社広報に着任したのは2019年。
商品の魅力を伝えるためにインスタグラムの公式アカウントを作り、女性向けのコーディネイト案も発信している。
長身の女性は服選びに悩みがち、ということから167cmの佳奈さん自身がモデルに。
2/2