その仕事が「できない」人をアサインする
具体的に「未来に投資する」とは、ここでは育成の問題ですから、「その仕事から最も学べる人をアサイン(任用)する」ということです。
人は仕事経験から最も多くのことを学びます。マネジメントを任されている質問者が全仕事を見渡して、9割は「その仕事が最もできる人」、つまり既にその仕事ができる能力を有している人をアサインし、残りの1割を「その仕事から最も学べる人をアサインする」、つまりまだその仕事を完全にはこなせないかもしれないが、その仕事によって多くの新しいスキルを身につけることのできそうな人をアサインするのです。
つまり「最も学べる」とは「まだできない」状態のことです。
優秀なメンバーから順に「未来への投資」のアサインを行う
「最も学べる人」をアサインすれば、当然短期的には成果は落ちます。
しかし、学習能力の高い優秀なメンバーから順に「未来への投資のアサイン」をすれば、半年や1年でキャッチアップしてくれて、その仕事は普通以上にできるようになってくれるかもしれません。
そこまで残りの9割の人たちが現在を支えることを耐え抜けば、売上などの成果は元通り以上になり、チーム全体の能力は「未来への投資のアサイン」をした人が学んだ分だけ増えることになります。
そして、このサイクルを繰り返していけば、チームの能力の総和はどんどん増えていくことになるという算段なのです。
「未来への投資」をしなければチームは停滞する
もし、全員「現在」にしか目を向けなければどうなるでしょう。
すべての仕事を「その仕事が最もできる人」にアサインしたらどうなるか。短期的にはもちろん成果は上がることでしょう。しかし、「その仕事ができる」というのは「学ぶことはそれほど多くない」ということです。
成果は出せても学習はできない。そして徐々にマンネリ化してくるとモチベーションも下がる。本当はその仕事を任せたら新しいスキルが身についたかもしれない人には、その仕事は回らない。
結果、チームの能力の総和は停滞、もしくは減退していくという悪循環になってしまうのです。
最初の踏ん張りや覚悟ができるかどうかがネック
このサイクルを生み出すボトルネックは、最初に「1割だけ未来に投資」することを、短期の売上減を覚悟して行うことができるかどうかです。
あるいは、短期でも売上減はNGだというのであれば、その間は全員が110%の力を出して、現在を支える覚悟ができるかどうかです。
多くの企業においてここがクリアできないので、良循環が生まれません。ここを踏ん張るのがマネージャーの仕事、やるしかない、と覚悟を持ちましょう。
未来への投資が0であれば、明るい未来が拓けないのは当然なのですから。