「モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは…… 本日の相談者:ウェブ広告代理店・38歳「私にとって信頼でき、かつ優秀な部下が突然退職することになりました。私としては寝耳に水。
私生活含めいろんなことを会話していたつもりなのに、私にはそういった相談はありませんでした。私のマネジメントに問題があったのではないかと悔しくて眠れません」。
アドバイスしてくれるのは…… そわっち(曽和利光さん)1971年生まれ。人材研究所代表取締役社長。リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスにて人事・採用部門の責任者を務めてきた、その道のプロフェッショナル。著書に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(共著・星海社新書)ほか。
「人材獲得戦争」が起こっている
コロナ禍も過ぎて経済も戻ってきていることもあり、現在、日本は空前の人手不足となっています。
「働き方改革」でこれまで働けなかった方が労働参加したことで数百万人規模で労働者人口が増えたものの、2020年の後半から再度減り始め、これからさらなる人手不足になることは必至です。
2022年度の出生者数は80万人を切っており、今後、この傾向は数十年単位で続くメガトレンドだと言えます。人手不足というのは裏を返せば、限られたパイを企業間で“奪い合う”ということ。
昔、マッキンゼーが予測した「War for Talent(人材獲得戦争)」が、今まさに実現したような状況です。
転職する気のない人をスカウトする時代
しかも、2023年8月1日に総務省が発表した完全失業率は2.5%です。一般的に、完全失業率が3%程度だと「完全雇用」といって失業者がほとんどいないことを意味しています。
失業者がいない状況で採用をしようと思えば、今どこかで働いていて、なんなら転職の意思も現時点ではない潜在層に対してアプローチをかけ、動機付けをして関心を引き、受けてもらうというような「スカウト型採用」をしなければなりません。
このため、規模や知名度、人気度の大小を問わずに、このスカウト型採用へのシフトが行われているのです。
ですから、問題なく機嫌よく仕事をしている人が突然転職することは、普通にありうるのです。
同窓会などでも転職の機会になりうる
真っ先にスカウトの対象になるのは「優秀な人」です。人材を求める企業は、常に優秀な人を探しています。
スカウト型採用の手法のひとつに「リファラル採用」と言って自社の社員や内定者、あるいはOB・OGなどから紹介を募って、ネットワークをたどって人材と接触する方法があります。
今回転職をすることになった優秀な部下は、最近学校の友人との飲み会や同窓会などに参加していませんでしたでしょうか。それはもしかすると、「リファラル採用」だったかもしれません。
日常的な話でそんなことが出てきたら要注意で、可能であればどんな人と会ってどんな話をしたのかを、さりげなく聞いてもよかったかもしれません。
自分の市場価値を測りたいと考えている
スカウト型採用には他にも「スカウトメディア」というものがあります。有名なところではビズリーチやリクルートダイレクトスカウトなどがあり、200万人以上もの人材が自身のキャリアを登録して、企業側からのアプローチを待っています。
転職を考えていなくても、どんなスカウトメールが自分に来るのか、自分の市場価値を確認するために登録をしている人もいます。
他にもキャリア志向の高い人が多いことで知られるSNSのLinkedIn(登録者300万人以上)があります。こちらも登録していることで転職エージェントなどからダイレクトメッセージが来たりします。
いずれも自分の市場価値を測るにはよい場です。
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