トップアスリートとその活動をサポートするスポーツアパレルブランド、そして熱心なファン。一見直接交わることのなさそうな三者が一堂に会するスペシャルなイベントが、10月28日に東京・用賀のGMOグローバルスタジオで開催された。
その名も「Xander Schauffele Global Fan Event presented by DESCENTE(ザンダー・シャウフェレ グローバルファンイベント プレゼンテッド バイ デサント)」。
デサントのウェアを纏い、イベントに登壇したザンダー選手。
本イベントに登場したのは、10月23〜27日に開催された米国PGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」でプレーを終えたばかりのザンダー・シャウフェレ選手。
東京五輪で金メダルに輝き、今年全米プロ選手権と、全英オープンという2大メジャーを制覇している世界屈指のトッププロに会えるとあって、日本だけでなく韓国や中国から総勢約130名のファンが参加した。
イベントを主催するのは、今年からザンダー選手がプレイする際のウェアの提供を行い、コラボレーションコレクションの販売も手掛けるデサント。
同社史上初のVFX技術を駆使したバーチャル演出の採用、日・中・韓の三カ国同時ライブ配信であることなど、一般的なファンミーティングの枠を超えた、グローバルかつ特別なファンイベントであったことを特筆しておきたい。
ザンダー・シャウフェレ●1993年生まれ。178cm、75kg。13歳からゴルフを始め、2015年にプロ転向。世界ランク2位。24年5月の「全米プロゴルフ選手権」で自身初のメジャー制覇。同年7月には全英オープンで優勝し、メジャー2勝め。決して大柄ではないものの、今シーズンのドライバー平均飛距離は308ヤードを誇る。※各種データは2024年10月28日現在のもの
イベント序盤は全編英語で進行。会場では同時通訳が流れる音声機材が配られ、各自が翻訳言語をセレクトするシステム。配信にはAIのリアルタイム同時翻訳システムを導入しており、迫力満点の大型パネルとVFX技術を駆使したバーチャル演出により、かつてない没入体験へと誘うのが狙いだ。
ザンダー選手は、「デサント」ブランドにおいて2024年1月よりアドバイザリー契約を締結。デサントのウェアに身を包んで今季のPGAツアーを戦っている。
冒頭の質問コーナーでは、「世界の頂点で戦うザンダー選手ですが、そこでのデサントウェアの評判は?」という問いに対し、「他のプロたちも私が着ているアイテムが気になるようで『これはどこのブランドのもの?』とよく聞かれました。それくらいPGAツアーでも注目されています」と、自身が着用するウェアについて語った。
また、先述したように、会場の床から壁まで敷き詰められた大型LEDパネルによって作られた“バーチャル空間”は圧巻。ザンダーが今年制覇した全米プロゴルフ選手権と全英オープンのコースを臨場感たっぷりに再現していて、イベントでは当時の心境を語ってくれた。
CGでコースの起伏や奥行き感までも表現。まさに“その場にいる”感覚が味わえる。
まずは全米プロゴルフ選手権の会場だった「バルハラゴルフクラブ」最終ホールを再現。メジャー初優勝がかかった重要な1打だ。このとき、ザンダーは手が震えていたという。
バーディパットの瞬間をVTRとともに振り返るザンダー選手。
「パットへ向かうときは、周りにたくさんの観客がいたのに、なぜか静謐を感じたことを覚えています。もちろん緊張で手が震えていましたが、生涯をかけて練習してきたことを思い起こし、自分を奮い立たせました。今、ここでやるしかないのだと」。
そのパットを見事決めて優勝を手にしたときの心境については、「私にとってもチームにとっても、本当に意味のある優勝でした。非常に感慨深く、嬉しかったことを覚えています。これまでのツアーでの色々な経験によって強くなれたのだなと感じました」と当時を振り返った。
さらにイベント終盤では、Foresight Sports社の最新鋭のゴルフシミュレーターを使い、トッププロが、写真のような至近距離でスイングを披露。PGAトップ選手の生のスイングを見られるのは大変貴重な機会だ。ウォーミングアップなしのドライバーショットで、軽く推定301ヤードを飛ばしているのは流石だった。
用意されたのは、マスターズ/オーガスタ8番ホール。ティショットからグリーンまで、戦略的なアプローチも踏まえてザンダー自身が解説、実演した。
イベントの最後にはファンとの記念撮影も行われた。ザンダーは、全英オープンの勝利者に贈られる優勝カップである“クラレットジャグ”を手に持ちポーズ。終始ニコニコでファンとの交流を楽しんでいたのが印象的だ。
イベント参加者との記念撮影が第1部のフィナーレ。
ここまでがイベントの第1部で、第2部では隣接するSKY STUDIOへと会場を移し、懇親会を実施。10月25日に31歳の誕生日を迎えていたザンダー選手にちなんでサプライズでケーキが運ばれたり、個別にフォトセッションが行われたりと、エクスクルーシブなファンイベントらしい、華やかな演出で幕を閉じた。
懇親会で乾杯の音頭をとるザンダー選手。柔和で気さくなキャラクターが現れている。
また、オーシャンズでは今回のイベント開催に先立ち、ザンダー選手に直撃インタビューする特別な機会を得た。彼のゴルフファッションへのこだわりや今回の来日について聞いてみた。
オーシャンズのインタビューに答えるザンダー選手。
この日着用していたブラックのカシミヤ混ニットの快適さを力説。
――快適にプレーするために、ゴルフウェアに求める条件やこだわりはありますか?「たくさんありますが、一番はパフォーマンスへのコミット。デザインとルックスはその次になります。プロならではのハイレベルなパフォーマンスをサポートしてくれる素材、ストレッチ性、コンフォートな着用感、適切な体感温度のキープなどが特に重要だと思っています。高い技術力を持つデサントのウェアには、それらがパーフェクトに揃っていますね」。
――本日のコーディネイトで特に気に入っているアイテムは?「今、着ているカシミヤを使ったニットです。着心地がとても良く、上質な素材特有の暖かさを持ち合わせています。実は、全英オープンでも着用したんです。気温の変化が激しいコースでも対応できるところが気に入っています」。
――今回の来日で印象に残ったエピソードを教えてください。「大阪に始まって、近場の京都、そして最後に東京を訪れました。大阪では道頓堀に行って、たこ焼きやお好み焼きなどのローカルフードを食べたのが印象に残っています。そのあとに、妻と一緒に京都で寺社仏閣巡りをしたり、温泉に毎日入ったりと最高のリラックス体験ができました。
東京では祖父母と一緒に夕食をとって、初めてクラレットジャグを見せることができました。祖母とラウンドに行くこともできて、充実した日々でしたね。
今回の滞在の仕上げとなるのがこのグローバルファンイベントで、常日頃から私の活動をサポートしてくれるファンやブランド、メディアの皆様と直接交流できるチャンスを得たことを大変嬉しく思っています」。