当記事は「FUTURE IS NOW」の提供記事です。元記事はこちら。 時間に「効率」を求めがちな一方で、アウトドアやキャンプなど「非効率」とも言えることが流行している昨今。人によってその価値観はさまざまですが、目利きたちは時間をどう捉えているのでしょうか。
今回ご登場いただくのは、新しい目線から落語をつくり替える試みにも意欲的な若手落語家・林家つる子さん。落語家ならではの時間の価値観について、お話を伺いました。つる子さんのお話からは、多くのエンターテインメントが存在する今の時代にも、老若男女に愛される落語の魅力を窺い知ることができました。
林家つる子さん落語家。群馬県出身。中央大学の落語研究会に所属し、学生落語の全国大会で決勝進出。審査員特別賞を受賞。大学卒業後、九代目林家正蔵に入門。「芝浜」のおかみさんや「紺屋高雄」の花魁など、女性登場人物の目線から噺を描き直す新しい取り組みにも挑戦している。YouTubeではラップや料理を披露するなど、落語を多くの人に聞いてもらうために幅広く活動。2024年3月、女性で初めての真打ち(*1)抜擢昇進が決まっている。
https://tsuruko.jp/ Q1.どんなスケジュールで1日を過ごしていますか? 前座(*2)の頃は朝8時半から師匠のお宅の掃除に行き、寄席の昼席ないしは夜席に行くなどタイムスケジュールがしっかり決まっていましたが、二ツ目(*3)になってからは決まったかたちはありません。
高座をかける(上演する)場所も時間もまちまちで、詰め込みすぎて疲れてしまうこともあるのでスケジューリングが課題です。落語の高座以外に打ち合わせや稽古などもあるので、今は完全な休日はほとんどないですね。
*1 真打ち・・・寄席で最後に出演する資格をもつ落語家のこと。
*2 前座・・・落語家の最初の階級のこと。
*3 二ツ目・・・「前座」の一つ上。
Q2.大切にしている時間はなんですか? 喫茶店やカフェでのんびりする時間。映画やドラマを観たり、漫画を読む時間。コロナ禍であらためて気づきましたが、その時間を持てると心に余裕が生まれます。
つる子さんは普段、愛用の3年手帳にさまざまな予定を書き込んでいる。
Q3.その時間を、どうやってつくっていますか? もともと、やるべきことがあってもギリギリまで手をつけないタイプで、やるべきことと全く関係ない情報サイトを見たり、いつだってできるような携帯ゲームをダウンロードしてしまったりして無駄な時間を過ごしてしまいがちでした。
その時間は「やらなくちゃ」が頭の片隅にあるので、リフレッシュにもならない。それならいっそのこと、映画鑑賞などの時間を先に取ったほうがその後がんばれるのではないかと気づき、先取り型でリフレッシュの時間をつくるようにしています。
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