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毒素が流れ出てしまう「リッキーガット」


――リッキーガットになると、どうなるんですか? 


簡単に言うと、鍵をかけていない家に泥棒が次々と入ってくるような状態になります。開きっぱなしの細胞と細胞の間から、毒素や未消化の食べ物、腸内の悪い菌が臓器や血管に流れ出てしまう。本来、捨てられるべきものが体内を巡り、腸内や血管、体のいたるところで炎症を起こすんです。

――炎症ですか。最近よく聞くワードですね。

腸が炎症すれば下痢や便秘になり、脳や神経が炎症したら集中力がなくなってイライラしたり、もの忘れがひどくなったりします。

つまり、体の炎症をどうコントロールするかが健康でいるために大切で、炎症を鎮める働きをするのが、副腎から分泌されるコルチゾールです。

©️simonapilolla/iStock

©️simonapilolla/iStock


――副腎、コルチゾール……。頭がこんがらがってきました。

副腎はあまり知られていませんが、これがなければ人間は生きていくことができないほど重要な臓器です。コルチゾールは炎症を鎮めたり、体をストレスから守ったり、免疫機能や自律神経のバランスを調整してくれる重要なホルモンです。

――どちらもかなり重要な存在ということですね。

まとめると、小麦を食べすぎるとゾヌリンが大量に分泌されて細胞が開きっぱなしになり、腸や血管に炎症が起きる。炎症を沈静化させるために副腎がコルチゾールを分泌しますが、炎症が常態化すると、私の夫のように副腎疲労を引き起こし、体がどんどん悪くなっていきます。

――副腎本来の働きができなくなるから、というわけですね。

そうです。40代の男性に多いと思いますが、寝ても疲れが取れない、常に体がダルい、頭がモヤモヤする、頭痛や肩こりがある、イライラするといった人は副腎疲労が起きている可能性があります。パンやラーメンをよく食べる人は、グルテンの摂取量を見直してみてください。

3週間の「脱小麦」に挑戦しよう


――小麦を摂りすぎかどうかを調べることはできるんですか?


ゾヌリンの分泌量を調べる便検査やグリアジンに対する抗体量を調べる検査はありますが、保険診療の範囲で受けられるものは現時点で日本にはありません。うちのクリニックの検査も、検体を海外に送っています。

――日本ではまだ新しい分野なんですね。

ただ、セルフでできる方法はあります。3週間、小麦の摂取をやめて、ビフォア・アフターを比較する検査です。

――3週間も小麦を抜くんですか。結構大変そう……。

1週間では効果が現れない場合があるので、3週間を薦めていますが、もちろん1週間でもやらないよりはいいです。日本には小麦の代替品になる米粉などの商品があるので、置き換えがしやすい環境にはあります。病院へ行くほどではないけど何か不快な症状を感じているなら、やってみる価値はあると思います。

本間先生曰く、「ちなみに醤油や調味料に入っている小麦は気にしないでください。あくまでも、主食としてのパンや麺をやめることが大切です」。

本間先生曰く、「ちなみに醤油や調味料に入っている小麦は気にしないでください。あくまでも、主食としてのパンや麺をやめることが大切です」。


――3週間で体調は改善しますか?

体に不調がある人ない人、遺伝によっても異なりますが、大なり小なり結果は出ます。うちのクリニックを受診された男性のなかには、体の調子が良くなり「人生が楽しい! 50年間、損してた」とまで言った方もいました。仕事のパフォーマンスも上がる方は多いです。

――3週間後はどうすればいいですか?

3週間やってみて改めて小麦を摂取したときに、眠気や頭痛、体調の悪さを感じるなら、小麦が何かしら悪い作用をしていると考えられます。その場合は、たとえば「週末は小麦を食べない」など、摂取量を工夫してください。

――最後に、小麦がプロテインの吸収を妨げるというのは本当ですか?

プロテインは消化しやすい形状に加工されていますが、腸の粘膜がいい状態じゃないと、うまく吸収されません。腸に炎症が起きていると、吸収率が悪くなってしまうんです。もったいないですよね。

また、炎症があると鎮静、修復する方にエネルギーが使われてしまうので、筋肉を造成する力も弱まります。神経に炎症があると瞬発的な動きが必要なアスリートには致命的なので、大谷翔平選手もグルテンフリーを実践されているようですよ。


病院を受診するほどではないが、体の調子がいまいち悪い、気分も頭もスッキリしない、といった不定愁訴を抱えている人は少なくない。

「俺もそろそろ年だしな……」と加齢のせいにしがちだが、本間先生によれば食の改善で自分のポテンシャルはまだまだ上げられるという。と聞けば、グルテンフリーを一度試す価値は大アリかもしれない。

ぎぎまき=取材・文

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