メルセデス・ベンツの新型「Eクラス」。Eクラスとしては6代目、源流となるモデルから数えると11代目になる(写真:メルセデス・ベンツ)
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。 乗用車のベンチマーク的存在として長く君臨してきたメルセデス・ベンツ「Eクラス」がフルモデルチェンジを行った。
初めてEクラスを名乗った1993年のW124後期型から数えても6代目、メルセデス・ベンツ自身がその始まりと位置づける1936年のメルセデス・ベンツから数えると実に11代目のモデルとなる。
オーストリアはウィーン近郊で開催された国際試乗会で対面した、この新型Eクラスのコミュニケーションワードは“Bridge between the world”。それは内燃エンジン時代から電気自動車の時代への橋渡しという意味であり、またデジタル化の扉を開く存在だということも表している。
パワートレインは電動化されたがBEVはない
実際、新型Eクラスのパワートレインはすべて電動化された。ガソリンエンジン車、そして今回も残されたディーゼルエンジン車はマイルドハイブリッド(MHEV)化され、主軸にはいずれも100km前後のEV航続距離を持つプラグインハイブリッド(PHEV)が据えられる。また、北米向けには直列6気筒3.0LガソリンターボエンジンがMHEV化されて設定されている。
先日、日本でも発表されたばかりのライバル、BMW新型5シリーズがBEVの「i5」を主軸としているのに対して新型EクラスにはBEVの用意はない。無論、それはすでに「EQE」というBEV専用車がラインナップされているからである。
しかしながら今回の会場でメルセデス・ベンツの開発部門トップ、マーカス・シェーファー氏は「(現行Sクラスから使われている)MRAプラットフォームを用いるのはこのEクラスで最後になります」と明言した。
それは、2030年の完全電動化を公言しているメルセデス・ベンツが、次期型Eクラスにはもはや内燃エンジンは搭載しないということを意味するはずだ。その時にはおそらくEクラスとEQEは統合されることになる。
そしてデジタル化の象徴が、12.3インチを2枚、17.7インチを1枚の合計3枚のディスプレイを組み合わせたインテリアのMBUXスーパースクリーン。2024年導入予定の車載システム“MB OS”のインフォテインメントに関する部分を先行して用いることで操作環境をアップデートしている。
3枚のディスプレイを組み合わせたMBUXスーパースクリーン(写真:メルセデス・ベンツ)
たとえば、現行のMBUXでは音声認識機能を立ち上げる際に「ハイ、メルセデス」という呼びかけが必要だが、新しい“Just Talk”機能では、それが不要に。条件に応じた機能の呼び出しを予めルーティンとして記憶させることもできる。「気温が20度以下になったらシートヒーターを入れて、アンビエントライトを暖色系のトーンに変更する」といった具合だ。
オーディオは4Dサラウンドとなり、サードパーティ製のアプリを走らせることもできる。すでにTikTokや各種ゲーム、さらに本国ではビジネスセダンの代表であるダッシュボード上の自撮りカメラを用いるZoomなどのオンライン会議がプリセットされており、また今後OTA(オーバー・ジ・エア=無線通信を使ったソフトウェアでの機能更新)でさまざまなアプリを購入することも可能となる。
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