「偏愛さんいらっしゃい」とは…… 2023年7月、原宿にオープンしたばかりの「カフェまんま」には、膨大な量の古伊万里焼が展示されている。
実はこれらはすべて、人気スニーカーショップ「アトモス」の元オーナー、本明秀文さんのコレクション。稀代の“スニーカー王”が次に着目したのは日本が世界に誇る古伊万里焼だ。
▶︎すべての写真を見る 本明秀文●1968年生まれ。’96年、裏原宿に2.7坪のスニーカー並行輸入店「チャプター」をオープン。’00年に正規店の「アトモス」をオープンし、国内外に出店拡大。’21年にフットロッカーに会社を売却し’23年退社。現在はおにぎり屋「おにぎり まんま」を経営している。
興味をもったきっかけは古布だったという。
「古布の染め付け、特に藍染の美しさに惹かれました。そして義理の弟が陶芸家だったこともあり、陶器について教えてもらっているうちに焼き物に興味をもち、古伊万里焼に辿り着きました。
江戸時代に、佐賀県の有田やその周辺で焼成された伊万里焼を「古伊万里焼」と呼んでいる。
もともと日本の古いものや伝統文化そのものが好きで、関連書籍を読んだりしていました。
あとは単純に集める過程が好きなんです。例えば、集めるときに同じ趣味を持つ人と喋ったりして情報交換をするじゃないですか。わからないことばかりだからいろんな質問をするのですけど、そうやって話し合ったりするのが楽しくて」。
古伊万里焼の魅力は、唯一無二の美しさ
中国の盛唐の時代を想起させる、趣あふれる藍の絵柄。
「特に僕が好きなのは江戸の初期〜中期ぐらいにかけてのもので、他の年代のものと比較して作りがやや厚いのが特徴です。あとは深みのある美しい藍の色味ですね。すべて手作業なので、大きさも厚みも色合いも同じものが2つとない、見れば見るほど違いがわかるのが面白いんです。
内側には藍を駆使し、底部のみならず側面にも絵付けを施している。
僕は漢文や漢詩が好きで、中国の盛唐の時代の詩人である李白(りはく)や杜甫(とほ)などの作品をよく読むのですが、自分の好きな漢詩をイメージしたような絵柄が器に描かれていると、より一層テンションがあがります。
そういうところも古伊万里焼ならではの魅力なのだと思います」。
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