言葉③「今を大切にする。今をやり切らないと先には繋がらない。常にそう思ってやってきた」
Q:スポーツに限らず、大舞台でいかに力を発揮できるかは成功を引き寄せる大きな要素だと思います。竹下さんは1点が勝敗を分ける局面などで、どのようなことを意識していましたか? 「緊張するな」っていう方が無理だと思いますし、私が緊張する時に振り返るポイントは「オリンピックに行けなかった時に比べたら大したことない」と思うことでした。その経験があったから乗り越えられることもある。あとは練習量です。これだけやってきたんだっていう自信があったので、「そんな緊張なんて」って思ってました。
Q:バレーボールの試合を見ていると、チームメートと声をかけあうシーンが非常に多い印象を受けます。声掛けで意識していることはありますか? 展開が早いスポーツなので、切り替えが本当に重要なんです。否定していたら先に進めないですし、どんどんどんどん相手に連続ポイントを取られるという事にも繋がってくるので。厳しく追求するところは追求しながらも、次の切り替えっていうところが大事だと思いますね。
Q:そうしたモチベーションの高め方は、ビジネスの世界などでも活かせるように感じます。 性格もそれぞれ違いますし、自分の中で抱え込んじゃって、切り替えが苦手な人もたくさんいるので、そういう人たちに対しての声掛けであったりはすごく重要なのかなと思いますね。
放っておいても切り替えられる人は切り替えられるし、ネガティブな要素を持ってる人たちをどうポジティブに変換させてあげるんだろうっていうところはすごく難しいし、課題でもありますよね。
Q:THE WORDWAYは「言葉」を大切にしているメディアです。竹下さんを作り出した言葉、支えとなってきた言葉があれば教えてください。 「今を大切にしよう」っていう言葉ですね。今はもう戻ってこないから、今の一つ一つを大切に必死に取り組んでいくっていうのは、自分の中のテーマにしています。バレーボールと向き合う時間が長くなってくるにつれて、やっぱり今をやりきらないと、今を頑張らないと先に繋がらないですし、そう常に思ってやってきました。
Q:最後に、これからの竹下さんの目標、実現したいことを教えてください。 今年の秋にオリンピック予選のワールドカップがあるので、まずそこで出場権を取ること、そこにサポートしていきたいですね。今の選手にオリンピックの舞台を味わってほしいですし、バレーを必死に頑張ってる後輩たちにいい思いをしてほしい、大舞台を経験してほしいっていう思いで今は向き合っています。
あとは子供たちにバレーボールの楽しさや、スポーツっていいものなんだよっていうことを伝えたいですね。プライベートなところでは、自分の子供も小学生になり、やりたいことも少しずつ増えてきているので、自分が小さい時に親にサポートしてもらった分、今度は子供たちにもそういうサポートができる親でありたいなという風に思ってます。
竹下佳江(たけした・よしえ)1978年3月18日、北九州市生まれ。不知火女高(現誠修高)からNECへ進み、02年からJTに所属。97年に日本代表に初選出され、04年アテネから五輪3大会連続出場。12年に元プロ野球・広島の江草仁貴投手と結婚し、13年に現役引退。15年に長男、18年に次男を出産。16年から4年間ヴィクトリーナ姫路の監督を務める。2022年に日本代表監督付戦略アドバイザーに就任。