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2023.06.17

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村田諒太が現役引退した今考えること「選択の正誤はその場では出ない」



当記事は「The Wordway」の提供記事です。元記事はこちら(
第1回第2回第3回 
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今回のアチーバーは、3月に現役引退を発表した、ボクシングの元WBA世界ミドル級王者・村田諒太さんです。

アマチュアで数々のタイトルを獲得した村田さんは、東洋大職員時代に出場した2012年ロンドン五輪で日本人48年ぶりとなる金メダルを獲得。

五輪後の2013年にプロへ転向すると、2017年10月には、「激戦階級」とされるミドル級で世界王座を獲得する快挙を成し遂げました。五輪金メダルと世界王者。日本スポーツ史に残る挑戦を支えた、「決断」に対する考え方、成功を引き寄せるキャリアの重ね方とは―。

言葉①「選択の正誤はその場では出ない。決まるのはその先。だから、決断自体は大したことではない」

Q:現役最後の試合から1年の期間がありましたが、次のキャリアに向けてどのようなことを考えて過ごしていたのでしょうか。

この1年間は結構充実していて、英語の勉強などもしていましたが、何をやるか、「これだ」と決めていたわけじゃないんです。いろんな人と会ったり話していく中で、今は明確にやりたいものが見えてきています。

まだ発表できる段階ではないですし、大きなことを言える状況ではないんですけど、思ったより引退という状況は悪くないなと思っています。


 
Q:村田さんは、金メダリストとなった2012年のロンドン五輪後に大学職員を辞めてプロの世界に挑戦しました。当時の「セカンドキャリア」を決断した際、葛藤などはありましたか?

あの時はオリンピックの金メダルって大それたものだと思っていましたし、歴史の中でもないことだったので、それをやったことに対する満足感もありました。同時に、この業績をもっと認めて欲しいという気持ちと、(世間は)思ったより認めてくれないっていう気持ちもあったんです。

金メダリストとしてのアイデンティティがあって、自分がこれほどの価値がある人間だと勘違いしてしまう。そうすると、その一回自分が感じ取ってしまった自分の存在という状況からなかなか降りられないんです。2012年っていうのはまさにそんな状況でした。

Q:その状況から、最終的にどのようにプロ転向の意思を固めていったのですか?

なかなか決断がつかずに、「自分の人生どうするんだよ」って悩んでいた時、2012年の年末に『課外授業へようこそ先輩』っていう番組に出たんです。小学6年生の子供たちを相手に2日間僕が課外授業をやったんですが、その経験が自分にとってはすごく大きかったですね。


 
Q:子供たちとの出会いが、気づきを与えたと?

小6の時っていうのが、ちょうど僕も親が離婚したり、ちょっと大変な時期で、彼らが節目を迎えていく時に、2日間一緒にいさせてもらったんです。

それで「子供の頃ってこんな気持ちだったよな」って思えたので、妻に「ガキの頃の夢をもう1回追いかける」「プロ行くよ」って言ったんです。それまでは「ダメ」って言われていたんですけど、その出来事があってからは妻もOKしてくれた感じでした。

Q:プロ転向時はフジテレビが全面的にバックアップするなど大きな注目を集めた一方で、「世界王者」を求められる孤独な生活がスタートしたわけです。世界王者になれなかったら金メダリストとしての価値が下がるといった感情はなかったのですか?

もちろん思っていました。やっぱり、負けられないってずっと思ってましたね。いい試合で勝たなきゃいけない、自分が強い存在に絶対いなきゃいけないみたいな。自分が得た金メダリストというそのステータスにしがみつきたいというか、そういう心理は働いていましたね。

プロに来てからは後ろを振り返れなかったと言うか、大学を辞めて来て、ある意味ではもう啖呵切って来てるわけなんで、後ろは崖じゃないですか。そういうシチュエーションだったのは、ある意味ではプラスではありました。

Q:後悔しても、過去にしがみついても解決することはないと?

そう思います。結局、選択の正誤っていうのはその場では出ないですから。その後の結果次第で「行ってよかったかどうか」っていう話になるんで。

1つの出来事っていうのは、そこだけで完結するわけじゃなくて、その先のことで良かった、悪かったってなるわけです。結局は目の前の決断だけじゃなくて、その先が決めることなんです。だから、決断なんていうのは実は大したことではないんですよね。


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