OCEANS

SHARE

エピソード② 火災が起きた一戸建ては12年前にも……

昨年の暮れ、東京・町田市の一戸建てで火災が起き、この家に住む高齢男性が亡くなりました。

冬は空気が乾燥して、火事が多いので、特に疑問に思うこともなく、大島てるのサイトで場所を確認したところ、なぜかすでに登録をされている。

最初は「あれ? バグかな?」と思ったのですが、チェックをしてみると、なんと同じ家で12年前に殺人事件があったのです。

殺人事件と火災が起こった家。写真提供:大島てる物件公示サイト

火災と殺人事件が起こった家。写真提供:大島てる物件公示サイト


殺人事件が起きたのは2010年。将来を悲観した夫が、無理心中をしようと妻を絞殺したというものでした。そしてよく見ると、絞殺した夫と火事で亡くなった男性は同姓同名だったのです。名前も住所も同じということは、間違いなく同一人物ということです。

殺人事件の判決がどのようになったのかはわかりませんが、刑務所に入所していたとしても12年という月日を考えれば、出所している可能性はあります。

後追い自殺をしたのか、それとも奥さんに引きずり込まれたのか。亡くなった今となっては、すべては闇の中です。

この物件が気になり、私は現地にも足を運んだのですが、現場は火事があったという割にはきれいで、少しリノベーションをすれば、人が住むことができそうでした。ただ、2度も不幸があった物件は、どう評価されるのか。とても気になっています。

話は少し脱線しますが、私は町田と聞くと思い出す事件があります。それは大島てるのサイトを開設した直後の2007年に起きた事件です。

夫が携帯に保存をしていたエロ画像を見た妻が激昂。夫婦喧嘩となって、夫が妻を絞殺したのです。当時、ネットでは「そんな画像を見られたぐらいで殺すなんて」とネタのように茶化されていたのですが、調べれば調べるほどそんなに単純な事件ではないことがわかりました。

というのも日頃から夫は妻からのDVに苦しんでいたそうなんです。今とは違い、「男のくせに」という風潮がまだ残っていた時代。周りにも悩みを打ち明けられず、鬱憤が溜まっていたところに、激昂されて殺してしまった。

もちろん殺人は言語道断ですが、どんないきさつがあっても、善人の被害者と悪人の加害者という構造で報道されてしまうというのもまた恐ろしいものです。


3/3

次の記事を読み込んでいます。