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意思を鼓舞する人としての役割

AIのもうひとつの問題は意思がないことです。

AIがメンバーをどうしたいと思うことは(今のところ)ありません。意思を持っている人間が「こうしたい」と働きかけなければ、AIは大した働きをしません。

メンバーが自律的で、マネージャーがサポートせずともしっかりした意思を持てるなら問題ないのですが、若い人であればあるほど、なかなか「こうしたい」という意思を持てる人は少数です。

意思は刺激への反応として生じます。マネージャーはメンバーに「君ならどう思う?」「こうしてみては?」「こういうのもあるよ」といろんな球を投げることで、徐々にメンバーの意思が芽生えてくるのです。

このようにメンバーに意思を持つきっかけを作り、インスパイアすることはまだまだ人の役割ではないでしょうか。


AI時代のマネージャーにもまだまだやることはある



考えてみれば、情報を分析して常識的な解釈を生み出したり、そこからふつうに導き出される常識的な対策立案をしたりすることは、マネージャーの仕事の中で別にそれほど大事なことではないかもしれません。

AIがやってくれるなら、やってもらえばよいのではないかと思います。

一方で、仕事における森羅万象に意味を見出したり、人の心に火をつけて意思を引き出したりすることは、それと比べれば本質的に重要なことではないでしょうか。

これに注力できるのであれば、AI時代のマネージャーはさらに重要な価値を発揮できるのではないのではないかと思います。
グラフィックファシリテーター®やまざきゆにこ=イラスト・監修
曽和利光さんとリクルート時代の同期。組織のモヤモヤを描き続けて、ありたい未来を絵筆で支援した数は400超。www.graphic-facilitation.jp


曽和利光=文

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