空気力学に基づいて設計された外装は、「MCLA」と呼ばれる独自の技術で軽量化されている。ドアには、マクラーレンの特徴のひとつである、上に開くバタフライドアを採用。3070万円。
▶︎すべての写真を見る マクラーレン初の量産型PHEV(プラグインハイブリッド)モデルである「アルトゥーラ」。
「Eモード」「コンフォート」「スポーツ」「トラック」の4つの走行モードを切り替えることで、モーターのみでエネルギー効率よく走ることも、エンジンで爆発的なパワーを出して走ることも可能だ。
スーパーカーらしさと技術の進化を存分に味わえるこの一台を、識者3人が分析。
エンジン“補完計画”!?
電動化といえばエコカー的なものを思い浮かべますが、ここ数年、その波がじわじわとスポーツカーの世界にも押し寄せています。
アルトゥーラは動力源はPHEVで、一般家庭の充電で最長31kmのEV走行が可能です。この手の車は早朝や深夜の住宅街の出入りに気を使うものですが、そういう際にEV走行は便利ですね。
でも、単に電池とモーターを両方積んだだけならば、必然的に車体は重く大きくなるわけで、スーパースポーツカーとしては百害あって一利なしです。
そこで、アルトゥーラは、専用設計のV6エンジンで車長を短くするなど、徹底した軽量化で重量増を相殺し、運動性能の損失を限りなく抑えています。そのうえで、モーターの力をエンジンに上乗せすることで瞬発力をさらに強化しようというわけです。
アルトゥーラのシステム総合出力は680psですが、感じる力はそれ以上。ハイパワーエンジンの苦手な低回転域でもモーターのトルクが車体をぐいぐい押してくれる補完が伝わってきます。
無音の走り出しから爆裂的な加速へ。スポーツカーが新たなフェーズに入ったと感じさせてくれる、アルトゥーラはそんな車です。
| 自動車ライター 渡辺敏史 出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。 |
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