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2023.05.27

1965年製「クラシックディフェンダー」が新車で!? 最新機能を盛り込んだ古き佳き一台

ボディカラーは、1965年製のディフェンダーのミッドグレーを参考に、ヘリテージグレーが採用された。

ボディカラーは、1965年製のディフェンダーのミッドグレーを参考に、ヘリテージグレーが採用された。


近年、ポルシェやメルセデス・ベンツなどは、自社のクラシックカーに対して、当時のパーツや再生パーツ、さらに専門知識をもつスタッフも用意して「古い車をもっと長く乗ってもらう」というサービスを展開している。

「現行型のほうが何もかも快適で安心でしょ」と思う人もいるだろうが、そこまでしても乗りたくなるような魅力的なクラシックカーは確かにある。

ランドローバーの初代「ディフェンダー」は、その代表格と言って過言ではないだろう。

そんな我々の声が届いたのか、メーカー自らレストアしただけでなく、同車の世界観を表現した素材や、最新機能まで盛り込んだ特別なディフェンダーが30台限定で販売を開始されている。
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ディフェンダーの始まりからの物語を紡ぐ30台

ライムストーンのルーフとスチールホイールが組み合わされる。

ライムストーンのルーフとスチールホイールが組み合わされる。


この特別なモデルの名は「クラシック ディフェンダー ワークス V8 アイラエディション」という。

実はランドローバーという社名は、スコットランドのアイラ島での初代ランドローバー(ディフェンダーの祖)で生まれた。創設者の1人であるスペンサー・ウィルクスの邸宅があるこの島で、走行テストを行っていた際に邸宅の管理人の1人が発した言葉がきっかけだそうだ。

そんなアイラ島に敬意を表し、今回の特別な30台のディフェンダーは、「アイラエディション」と名付けられた。

ベース車両は2012年から2016年製のディフェンダーで、スペンサー・ウィルクスが所有していた1965年製のランドローバー・シリーズIIAを参考にしながら徹底的なレストア、リエンジニアリング、アップグレードなどが行われた。なんと細部に至るまで手作業で組み立てたという。

「LAND ROVER」のヘリテージロゴとエンブレム、クラシックスタイルのグリルやリアのマッドフラップなどが備わる。

「LAND ROVER」のヘリテージロゴとエンブレム、クラシックスタイルのグリルやリアのマッドフラップなどが備わる。


アイラエディションに搭載されたエンジンは、2018年にランドローバー70周年を記念して150台限定で販売された「ディフェンダー ワークスV8(日本未導入)」と同じく、最高出力405馬力を発揮する自然吸気5LのV8エンジン。これに8速ATが組み合わされる。

いずれも初代ディフェンダーの現役時代には設定のなかったエンジンとミッションで、強力なパワートレインに合わせて、もちろん足回りもアップグレードされている。

シフトレバーの根本にあるプレートには「LAND ROVER」という社名の由来が刻まれている。

シフトレバーの根本にあるプレートには「LAND ROVER」という社名の由来が刻まれている。

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一方インテリアも、我々が知る初代ディフェンダーとあまり変わらないように見えるが、しっかりアップデートされている。まず、インパネなどの形状はほぼそのままだが、ナビゲーションシステムやBluetooth対応オーディオなどが組み込まれた。

また、シートの肩周り部分やドアの内張などにはツイードが用いられている。アイラ毛織物工場で厳選された手ざわりのよいツイードで、アイラ島とのつながりを表現したという。

アイラ島の風景を反映したアースカラーを基調としたツイードがインテリアにあしらわれている。

アイラ島の風景を反映したアースカラーを基調としたツイードがインテリアにあしらわれている。


アイラ島との繋がりは他にもある。

センターコンソールに備えられたトレイの素材は、アイラ島にあるキルホーマン蒸留所で使用されているウイスキー樽のオーク材だ。
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この蒸留所は、スペンサー・ウィルクスの孫娘が設立した蒸留所で、このアイラエディションにちなんで、限定ウイスキーが製造され、同車を購入した人に贈呈される。

「クラシック ディフェンダー ワークス V8 アイラエディション」の価格は90が23万ポンド(約3960万円)、110が24万5000ポンド(約4220万円)。90が17台、110が13台販売される。

取り外し可能なトレイ。ウイスキー樽に刻印された文字がそのまま残されている。

取り外し可能なトレイ。ウイスキー樽に刻印された文字がそのまま残されている。


購入相談はジャガー・ランドローバー・ジャパン正規販売店に問い合わせれば可能とのことだが、世界限定30台だけに、実際に買える可能性はかなり低いだろう。
 
しかし、自分に“その時”が回ってくるまで想いを馳せ続ける時間も、またディフェンダーを好きにさせてくれるのだから、困ったものだ。

籠島康弘=文

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