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アルフィスタに捧ぐドライブフィール

たまたま知り合ったイタリア人のアルフィスタ(血管にガソリンが流れている、熱狂的なアルファ ロメオのファン)が面白いことを言っていた。

「自動運転なんてクソ喰らえだね。機械に運転してもらうなら、食事やセックスも機械にやらせればいい」。とまあ、この手の人を虜にするのが、アルファ ロメオというブランドなのだ。

ひと言で言えばカッコ良くてエキサイティング。カッコ良さに陰があるように感じるのは、経営面での挫折を何度も乗り越えてきた歴史からだろう。良家の子女ではなく、名家の不良とか没落貴族のカッコ良さに近い。血の匂いがする、というか。

このブランド初のハイブリッドということで注目が集まるけれど、アルファはアルファだった。陰影に富んだルックスと、食事やセックスに通じる官能的なドライブフィール。

実は、アルファ ロメオは近い将来に電気自動車ブランドに移行することが決まっている。

もう、「俺の血管にはガソリンが流れている」というセリフは使えない。けれどもあのアルフィスタがモーターで走るアルファ ロメオに乗ったら、「俺の血管には電気が流れている」なんてセリフを吐くのではないか。

電動化しても、根っこは変わらない。ビリビリくるぜ。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/編集者。2月に発表された3代目ルノー カングーの出来の良さに感激。「ただ、20年前の初代が175万円だったのに新型は400万円で、これにもびっくり!」とのこと。

もう少し様子を見たい

アルファ ロメオの名はいつだって車好きの心をくすぐる。きっと車好きだけじゃなく、カーブランドとしての認知度も上位にくるはず。ブランドネームがほのかに甘美な響きを持って世間に通じている。

私も昔からのアルファ ロメオファンだ。クラシックからスーパーカーまで過去に何台も所有した。だから見る目が既に甘い。無条件で受け入れてしまいそうになる。

トナーレもそうだ。新しいデザイン(3連のLEDヘッドライトがそのシンボル)を用いた比較的コンパクト(=マーケットの売れ線)なSUVで、しばらくぶりの程良い大きさのアルファ ロメオはブランドの期待の星だろう。

ニュースは、新開発エンジンに48Vモーターを加えて電動走行を可能としたハイブリッド車であること。ブランドとしては初の電動モデル。アルファ ロメオは将来の電動ブランド化を明言してきたから、その歴史的な第一歩でもある。

さて、その仕上がりはというと“贔屓目”に見てもパフォーマンスの詰めが少々甘いと思った。キビキビ動く感覚は確かにアルファ ロメオらしいけれど、ドキドキには至らない。

買うならもう少し様子を見て、というのが正直なところ。それでも愛しく思ってしまうのだけれど。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。


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