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筆者が強くお勧めしたいのは、スーツケースだ。海外で飛行機の乗り継ぎがある場合、預け入れた荷物が本当に積み替えられているか、不安に思うときがあるだろう。AirTagであれば、このようなときにも、荷物の場所を確認できる。預けた荷物が、自分が搭乗する航空機と同じ場所にあれば、荷物もきちんと移動していることになる。

ロストバゲージを防げるわけではないが、あらかじめ乗り継ぎ地点でわかっていれば、安心感があるうえ、なくなってしまったときも、ムダに荷物を探す手間がなくせる。

ドイツのフランクフルト空港で乗り継ぎした際の画面。2つのカバンアイコンは、スーツケースに仕込んだAirTag。飛行機の真下にあることが確認できた(筆者撮影)

ドイツのフランクフルト空港で乗り継ぎした際の画面。2つのカバンアイコンは、スーツケースに仕込んだAirTag。飛行機の真下にあることが確認できた(筆者撮影)


海外旅行はもちろん、AirTagは国内旅行でも便利。冒頭で紹介したUWBの機能を使えば、近くにあるスーツケースを探しやすいからだ。とくに役立つのが、荷物を受け取るとき。シェアの高いスーツケースを使っている場合、他人とかぶってしまいがちで、ターンテーブルの上を回っているものが自分のものかどうかがわかりづらい。

このようなときに「探す」アプリでUWBを使って検索をかけると、細かな方向や位置が表示される。他人のスーツケースを間違って持っていかないようにするうえでも、AirTagは有効だ。

また、パスポートケースのように、普段あまり持ち運んでいないものに入れておいてもいい。海外では、外国人のパスポート携行を必須にしている国や地域もあるが、このようなときに、ホテルに置いたままにするのを防げる。

筆者も、機内預けの可能性があるスーツケースすべてとパスポートケースにAirTagを入れ、日本にいるとき以上に積極的に活用している。転ばぬ先の杖と考えがちなAirTagだが、積極的にものを探したいときにも活躍するというわけだ。旅行は、その代表例と言えるだろう。

子どもの「見守り」にも使える

物を探すだけと思われがちなAirTagだが、位置情報の更新が頻繁で、かつ精度も高いため、子どもの見守り用途にも活用できる。こうした見守りには、GPSを内蔵し、自身でモバイルネットワークに接続できる専用のタグを使うのが一般的だが、AirTag以上に価格が高く、月額料金がかかることもあるのがネック。AirTagはGPSほどの精度はなく、子ども側から位置の発信などはできないが、簡易的な見守りタグにはなる。

筆者も、子どもの荷物にAirTagを1つ入れておいたところ、幼稚園から脱走してしまった際に、無事、発見することができた。GPSタグのように移動経路がわかるわけではないが、位置情報が定期的に更新され、足取りがつかめた。おそらく、すれ違う人がiPhoneを持っているたびに位置情報がアップロードされていたためだろう。シェアが高いiPhoneならではの強みを目の当たりにした格好だ。

ただし、この使い方はアップルが推奨しているわけではない。むしろ、公式サイトなどには人間につけるものではないと明記されている。GPSタグと比べると精度が低いことに加えて、上記のようにつけられた子ども側から位置を発信する機能がないためだろう。

また、機能だけを取り出して見れば、子どもの見守りとストーカーに大きな差はない。犯罪への利用を推奨した体裁にならないようにするため、このような位置づけにしている可能性もある。実際、世界各国でAirTagがストーカーに使われ、アップルも対応に追われている。


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