各所でリーダーシップを発揮しながら周囲の人々を前向きにしてきた舞さんは、同様に社会やユーザーを前向きにしていると感じたコクヨに入社する。
「文具は、書くという行為を通じて自分の思いを整理できたり、誰かに気持ちを伝えられたりするツールだと思っています。アイデアを形にするのも好きでした」。
入社して間もない頃には品川本社1階にある自社商品のショップで、AR(拡張現実)体験コーナーのコンテンツ作りに関わった。
「文具の感性的・機能的な価値を通常の売り場よりもリッチに伝えるため、AR技術を活用してラインナップ体系や使い方動画を表示するという試みでした。EC サイトへ連動し、そこから購入して自宅へ届けることも可能です」。
画面の中に掲げられた画像はバーチャルによるもの。
「KOKUYODOORS」にはオープン間際に参画したというが、コクヨはなぜこの場所に直営店を出店したのだろう。
「日本の文具は機能や品質が高く、ラインアップとデザインも豊富です。世界的に見ても独自の文化を築いているので、訪日外国人の方が興味を持つきっかけになればと。お土産やちょっとしたプレゼントにもぴったりのギフトセットも販売しています」。
さて、そろそろ店内を案内してもらおう。
まず目に付いたのは、ペン売り場ではおなじみの試し書きコーナー。
ん? Campusノートの原紙?
「1975年の誕生以来、現在も改良を加えて発売を続ける当社の代名詞的商品で、さまざまな筆記具との相性もいいと言われています。ちなみに、この原紙はロール状になっていて、余白が埋まったら下からどんどん引き出す仕組みです」。
紙の表面がツルツルであるほど軽い力で書ける。一方で、ペン先の振動を感じるザラザラの紙質を好む人もいる。
そうしたリサーチをもとに、コクヨ専用に梳いてもらうそうだ。
書き心地への飽くなき探求は終わらない。
こちらは昔の測量士用に開発したオリジナルノート。
ポケットに入るコンパクトさと、立ったままでも書きやすい硬い表紙が特徴だ。発売したのは1959年だが、カラーバリエーションを増やして復刻させた。
測量士の仕事内容に合わせて罫線が引かれている。
お次は、狭いデスクでも作業スペースを確保できるノートPCスタンド。ボードを手前に引き出せばPC操作とノートへのメモを両立させられる。
これも文具なのだ。
針がなくても紙を綴じられるステイプラーという不思議な商品もあった。
圧着して綴じるタイプ、折り込んで綴じるタイプなどがある。
さらに、いま盛り上がっているのが「文具女子博」というイベント。
かわいい文具を追い求める「文具女子」のために5年前から開催し、さまざまな文具メーカーが参画している。
コクヨのブースにも人だかりが。
「リアルなユーザーさんとコミュニケーションが取れる貴重な場です。人気はお気に入りの文具を見せて持ち歩ける『PiiiP』というクリアケース。「お気に入りの文具は見せて収納。実用的な文具はインナーケースに隠せる。」というというコンセプトです」。
見た目も可愛い「PiiiP」。
文具について熱く語る舞さん。そんな彼女を推薦してくれたのは同じ部署の先輩、三上由貴さん。
「柔らかい雰囲気の中に秘めたるパワフルさがあるんです。文具女子博でも企画のリーダーを担っており、AR体験のときも入社間もないのに、私がフォローしなくていいぐらいたのもしく応対してくれていました。
お客様への気付きを細やかに受け止めて、『こうしたらいい』という提案を社内外に発信してくれています」。
AR体験企画の陣頭指揮を取った三上さんと。
さらに、国内初となる文具のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)自販機も置かれていた。
無人販売のみならず、通常の自販機より大きなサイズの商品も購入できる受け取り口になっている。
文具のIoT自販機。
さらに、すごいお宝も見つけてしまった。
1936年代の帳簿や色紙付き便箋、1960年代の領収証など。
ありがとうございました。そういえば、いまハマっていることはありますか?
「サウナですね。外気浴が本当に気持ちよくて。サウナ目当てで全国を旅行しています。北海道の『十勝しんむら牧場』にあるコンテナ型貸し切りサウナは最高ですよ。牧場の牛を眺めながらととのうんです」。
水風呂越しの牛たち。
「明日は長崎のハウステンボスで遊んで、次の日に佐賀でサウナ三昧します」という舞さん。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
文具店のイメージを覆すショップでした。
[取材協力]コクヨwww.kokuyo.co.jp
KOKUYODOORS
https://kokuyodoors.com/