粘り強さで選ぶなら「チャコールタイプ」
外側は古紙にパラフィンを染み込ませたもの。独特な臭いがする。
次は変わり種として、着火しやすいように砕いて油を染み込ませたチャコール(炭)の粉を固め、燃えやすい素材で覆った「チャコールタイプ」を試してみる。
外側の素材は、ひとつめと同じように木屑に油を染み込ませたものやパラフィンが使われている。今回はどちらも試してみたが、結果は似ていたのでひとつのタイプとカウントして紹介する。
燃やし始めは火力十分。炎が続いた時間は5分ほど。そこから中の炭が15分以上燃え続けた。
石油タイプと同じく、着火はイージーで炎の勢いも強い。違いは炎が落ち着いてから現れた。
中のチャコールにしっかり火がつき、炎の勢いが収まった後も燃え続けてくれるのだ。火種として残ってくれるので、コンディションが悪いときにこそ役立ちそうなタイプと言えるだろう。
こちらは外側がパラフィンで、中に3つ小さなオガクズの塊が入っていてチャコールと同じ役割を果たすタイプ。
しかし、気になったのは中のチャコールが燃え続ける間、ずっと独特な臭いを発し続けること。火を楽しむ焚き火であれば気になるほどではないが、焚き火で食材を焼きたいなら避けたほうが良い。
保管も石油タイプ同様、密閉する必要があるのはマイナスポイント。
着火のしやすさ:★★★★★ 石油タイプと同様、つきやすい。
炎の勢い:★★★★☆ 前半しっかり、後半はじわじわ。
燃焼時間:★★★★★ 勢いがあるのは5分ほど、その後も消えずに燃え続ける。
使い勝手:★★★☆☆ タフコンディション向き。薪が乾いているときは長所がいきないかも。
総合点:★★☆☆☆ このタイプが必要な状況はあまり多くないかも。
「丸めた新聞紙」って実際どうなのよ?
風が出てくると着火には苦労する。
ここまでいろいろな着火剤を試してみたが、「新聞紙でもいいんじゃないの?」と思う方もいるだろうと、試してみた。
開いた状態ではすぐ燃え尽きてしまい、風で飛んでいってしまうため、今回は捻ったものをトグロ状にして使用。さて、結果はいかに。
炎の勢いがいいのは一瞬。燃焼時間も3分と短い。
まず、意外に着火しづらいことに驚いた。よく乾燥した状態の新聞紙を使ったが、これが湿った状態だったらさらにつきづらかっただろう。着火後はさすがによく燃えたが、炎の勢いは長く続かず。
燃えた灰が風で飛んでしまい、散らかるだけでなく、引火の危険も起きうると感じた。ティッシュやキッチンペーパーも同様の理由で使わないほうがいい。
やはり、着火剤を用意しておくメリットはあると再確認した。
着火のしやすさ:★★☆☆☆ 想像以上につきづらい。
炎の勢い:★★★☆☆ 瞬間最大火力はなかなかのもの。
燃焼時間:★☆☆☆☆ 勢いがあるのは一瞬。
使い勝手:★☆☆☆☆ 片付けの手間も増えそう。燃えた灰が飛ぶと引火の危険も。
総合点:★★☆☆☆ 手軽だが着火剤としてはおすすめしない。
現地調達するなら「杉の葉」がおすすめ
炎の勢いは最大級。
ちなみに、着火剤を忘れてしまった場合は、新聞紙やティッシュ、キッチンペーパーを燃やすよりも杉の葉を探してみるのがおすすめ。
湿っていると火がつきづらいので、地面に落ちているものよりも枝に引っかかって乾いているものを集めよう。
燃え尽きるのはあっという間。
乾いていれば火はつきやすい。油分を含んでいるので、炎はかなり大きく燃え上がる。燃焼時間は短いが、薪や焚き付けがしっかり乾いていれば、少量の杉の葉でも十分火がつけられる。
調子に乗ってバンバン燃やすと、燃えカスの処理が大変なのでほどほどに。
着火のしやすさ:★★★★☆ 乾いていれば星4つ。
炎の勢い:★★★★★ 今回試した中でも実は最大級の火力だった。
燃焼時間:★☆☆☆☆ 短い命です。
使い勝手:★★★★☆ 薪を足して、ちょっと火力が欲しいときなどにも便利。
総合点:★★★★☆ 拾ってキープしておくとなにかと便利。
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ご覧のように、どの着火剤にも一長一短がある。
ブッシュクラフトのように、火おこしの過程自体を楽しむ「焚き火が目的」の場合は無用の長物だが、暖を取ったり、料理を楽しんだりと「焚き火が手段」の場合にはこれを使わない手はない。
筆者は忘れても手に入りやすい石油タイプを使う機会が多いが、今回の実験を通して袋タイプの有用性に気がついた。まだ焚き火に慣れていない方には、ぜひとも使用をおすすめしたい。