お金以外の選択肢が増えることで人間関係や仕事の質も変化。
F.I.N.編集部 今後、目指していることは何ですか? 陳暁さん この取り組みは可視化することに意味があると思っています。お金を介さない友人同士のようなやりとりは、すでに世の中に存在しているもの。私たちが新しくつくったものではありません。それを形式化し、お金がないからできなかったことが物々交換でできると提示する。それによってもっと多くの人や企業の可能性が広がるといいなと思っています。
川名さん 歴史を遡ると、大昔の人々は物々交換をしていました。そこから価値の物差しとして貝や石を使い、その後貨幣が誕生しました。今は暗号資産やデータにもなっています。時代の変遷によってお金のかたちがより効率的な形に変容しています。しかし効率的になる一方で、お金のやりとりは無機質になっていく。どんどんお金や価値の交換が可視化されにくくなっていると感じます。
いつの間にかお金を支払っているとか、いつの間にか取引が完成しているということが多い。価値と価値を交換することは、人と人のつながりを豊かにするためのコミュニケーションだと思います。あえてそこを可視化することによって、つながりをもう一度呼び起せると感じます。
F.I.N.編集部 V2Vという仕組みが社会に浸透したらどうなると思いますか? 川名さん 人々の新たな関係性ができていくことと、アウトプットの質が変わる気がしています。例えば広告をつくるという作業があるとしたら、今までは製品の訴求ポイントを明確にし、広げていくマーケットや年齢層、コミュニケーション内容について社内で決めます。その後予算が決まり、やっと広告をつくる会社に発注される。
僕は広告をつくる立場で受注したとき、もっと前の段階で相談してほしかったと思うこともあるんです。製品の中身や、コンセプト自体をもっと考え直した方が良いことはよくある。お金はいろんなことが決定した最後に支払うものという基準があるので、お金を介さないことによって、初期の状態から一緒に考えることができます。そうなると必然と出来上がるサービスや商品も変わってくると思います。
STEP1をやってみて、V2Vの可能性を大いに感じることができたので、STEP2ではもっと大きな視座で一緒に価値を構築していくことにも挑戦したいです。(「物々交換達成状況」参照)