秋会期では、ビジネス、行政、アートなど各界のビジネスリーダーをゲストに迎えた「焚火カンファレンス」も開催。10月9日、慶應義塾大学 環境情報学部教授/Zホールディングスのシニアストラテジストの安宅和人氏が登壇した回には、住民含め約50人が参加。
こうしたインプットも、大規模なホールで聞くのとは違って、感覚的に右脳にも響いてくる。
着実に広がる移住の種
庄司氏曰く、まだGWCが直接移住には繋がっていないが、企画が取材され、参加者がnoteやSNSで発信することで、「五島を知ってもらう」意味で大きな貢献をしているという。
こうした人との交流が、よく「観光以上、移住未満」と表現される関係人口だ。地域に異なる視点を届け、地域経済を活性化させ、地方の魅力の発信者ともなる。その形としては、ワーケーションのほか2拠点、あるいは多拠点生活という選択肢もある。
実際、五島市には、定額制住み放題サービス「HafH」や多拠点生活プラットフォーム「ADDress」が早い段階からできており、それらを利用している人も多い。
松野尾氏の実感としても、この数年で2拠点のニーズが高まっており、「移住希望者を対象とした“空き家バンク”にも、2拠点の問い合わせが増えている」という。
五島つばき空港から長崎までは約30分、福岡まで約40分のフライトだ
東京と五島を拠点とするフォトグラファーは、島で友人とゲストハウスを経営。先々で五島の魅力を伝えては、友人知人を島に招き、地元通ならではの滞在をアテンド。すると、訪れた人がまた違う友人と再訪することも多いと話す。こうして移住の種は着実に広がっている。
これらの展開は、「五島を好きになって来てほしい」という庄司氏と松野尾氏の思いにも叶っている。現在二人が掲げる移住者数の目標は、年間300人。ゆくゆくは、「自然減(出生より自然死が上回る状態)もカバーできる人たちを受け入れていきたい」という。