「モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは…… 本日の相談者:システムエンジニア・38歳「管理職になって1年。現場感覚を大事にしながら、部下が仕事をしやすい環境を整えるのが自分の仕事と思って、部下には丁寧に指導してきたつもりです。
ところが上長から「君のマネジメントは細かすぎて、部下への過干渉になっていないか?」と諭されました。
丁寧な指導と過干渉の違いについて悩んでいます」。
アドバイスしてくれるのは……そわっち(曽和利光さん)1971年生まれ。人材研究所代表取締役社長。リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスにて人事・採用部門の責任者を務めてきた、その道のプロフェッショナル。著書に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(共著・星海社新書)ほか。
人によって、指導か過干渉かの程度は違う
程度の問題ほど難しいものはありませんよね。こちらが良かれと思って気を使えば使い過ぎと言われ、放っておいたほうが良いのかと思って放っておけば何もしれくれないと文句を言われてしまうものです。
相手があるものなので、相手が欲する程度を与えなければどれもダメとされてしまうというわけです。ですから、「丁寧な指導」と「過干渉」の違いについて、正解はありません。
ある人に同じ程度で関わって「丁寧な指導」とされたからと言って、同じ程度で別の人に関わったら「過干渉」と言われることもあるからです。
自由を好むか、不安を避けたいか
では、どうすればよいのでしょうか。単純ですが、単刀直入に相手に聞いてみてはどうでしょう。
もしもその部下が自由にいろいろ試行錯誤したいタイプであれば、「もっと自分に任せてほしい」と干渉を嫌うでしょうし、逆に何事にも慎重で不安心の強いタイプであれば「もう少しいろいろ教えてほしい」と積極的に関わってくることを望むことでしょう。
それぞれの部下に対して、そのどちらを望むのか(どちらかと言えばでもOK)を聞いてみるのです。
そして、彼らの望む通りの程度で関わってあげてはどうでしょうか。そうすれば、ともかく文句はないはずです。
言った通りにするだけではダメ
ただし、ここからがポイントですが、部下は必ずしも自分の能力を正しく認識してはいないので、部下の望み通りにやったとしても、うまくマネジメントできるかどうかわからないということです。
「能力や専門性や経験の低い人は、自分の能力を過大評価する傾向がある」――これは、ダニング=クルーガー効果という心理学の仮説です。これをあてはめると、まだ未熟な部下であればあるほど、自分を過信して「任せてください」と言う可能性があります。
それを間に受けて「なら任せよう」とすれば、結果は失敗に終わるだけで、マネジメントとしてはダメでしょう。管理職は結果がすべてです。
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