▶︎すべての写真を見る 窪塚洋介と窪塚愛流、親子でありながらも友達のようでもあり、兄弟のようでもある。型にはまらないナチュラルな関係。
普通なら相手を傷つけかねない、感情純度100%で交わすむき出しの会話も、どこか漫才のよう。
初春の柔らかな日差しと暖かなそよ風がふたりの間を優しく包み込む。これこそ気持ちいいふたりの時間だと思う。
窪塚洋介・窪塚愛流のナチュラルな親子関係
「初めまして、窪塚洋介と言います。よろしくお願いします」。
「あ、初めまして、窪塚愛流です」「あれ……、同じ名字ですね!」「そうですね(笑)」。
愛流がメイクをしている最中に、洋介が冗句交じりに挨拶をすると、愛流も戸惑いつつもそれに応じる。親子共演は今回が2回目だという。
インタビューの冒頭、撮影の感想について訊くと、まずは洋介がビールで唇を湿らせてから話す。
「広告の仕事で1度一緒に撮影をしたことはありますが、インタビューも含めてしかも表紙をやらせてもらうなんて初めて。新鮮さもありますけど……。ただまあ息子なんでね。気楽っちゃ気楽でしたよ」。
逆に愛流はどこかバツが悪そう。はにかみながら答えるその姿から初々しさが漂う。
「僕は少し恥ずかしかったです。幼いときは近い距離で接してもらっていましたが、思春期を越えての今だと、なんかちょっと変な感じでした(笑)」。
「おまえはまだまだやなぁ。俺的には今日はキスシーンまで想定してたから、逆にこんなもんでいいんだって思った(笑)」。
芸歴も含め、お父さんのほうが一枚も二枚もうわ手。
今回のテーマは“気持ちいい”。「ちょっとまじめなことを言うと」と前置きをしつつ、ここでも洋介から語る。
「取り立てて言うこともないような日常というものが、実はいちばん気持ちいい。でもそのときには気付けないもので。だからその瞬間は実感がないけど、振り返ると『あの時間、すごく良かったなぁ』って感じています。それも含めて気持ちいい」。
「そんな素敵なこと言われたら何も言えないよ」と、愛流は少し困った表情を浮かべながら。
「当たり前のことで申し訳ないですが、こういう天気のいい日に木漏れ日の下を散歩したり、冬の冷たい風を肌で感じた瞬間はすごく気持ちがいいです。あと仕事や家のことなど、溜めていたことをやりきったあととかもすっきりします」。
これを聞いた洋介は「あ、おまえよく言えるよな、そんなこと」と言うと、現場にいたスタッフに「ちょっと聞いてくださいよ」といい、あるエピソードを披露した。
「俺がこいつの家に荷物を送っても受け取らないんですよ。だから、俺のところに荷物が戻ってくるわけです。俺が送った窪塚愛流宛の荷物が。それでイラッとして『なんで受け取らねーんだ! 』って言うじゃないですか。
そうすると『忙しくて……』とか言っちゃって。いくら忙しくても荷物くらい受け取れるじゃないですか。そんなやつの今の発言ですからね。溜まってたことをやったらすっきりするだと! 俺のほうがすっきりするわい(笑)」。
ここでもバツが悪そうに愛流は「それに関しては本当にすみません……(笑)」と平謝り。
親が子を叱る展開とはいえ、ふたりの間には温かくて柔らかい、何とも気持ちのいい風が吹いている。特に窪塚洋介という男は、俳優として世に出てからずっと、そんな風をまとっているように感じる。
「夜寝るときに、“今日は楽しかったな”とか“最高だったな”みたいな気持ちで寝られるように意識しています。“今日”という日は二度と戻ってこないから、だったら自分がいる場所で本当に楽しまないと。
サーファーの人がよく『二度と同じ波はこない』って言うじゃないですか。やっぱり日常に起こることって、職業や国籍、性別とか関係なくみんなに起こってる波だから、それを楽しくライドしていくというのは本当に大事なことだと思います」。
2/2