北欧で“美容院迷子”になっていたアジア人
ロンドンやパリ、ニューヨークのような大都市ではなく、あえてフィンランドを選んだのは直感だった。
「どうせ行くなら、フィンランドのヘアサロンを見てみたいなと思ったんです。それで、現地のコーディネーターに案内してもらったら、アジア人は髪の悩みを持ってることがわかった。癖のある髪質なので、現地のサロンでは思うように切ってもらえないんですよ。それで、僕の技術や感性が活かせるかもしれないと感じたんです」。
それから2年間、散歩に行くようにフィンランドを訪れるようになったが、その度に梅沢さんのスキルを求める人の予約でいっぱいになったという。
もともと北欧家具が好きだったという梅沢さん。現地の雰囲気に馴染むよう、お店の看板もすっきりと。
「多くは日本人のお客さんですが、すごく喜んでもらえましたね。それが自分のエネルギーにもなりました。神宮前とヘルシンキで働く自分を想像してみて、こっちでやろうと移住を決めたんです」。
話はトントン拍子で進み、2019年4月に移住、翌月5月にヘルシンキで美容院「JEFF」をオープンすることになった。
「僕を案内してくれたコーディーネーターがたまたまヘルシンキで美容院を開くのが夢で、僕がそこにうまくハマった感じですね。一緒に開業して、今は雇用されている立場。就労ビザで働いていますが永住権は来年、取得できる予定です」。
フィンランドにいる日本人は約2000人。日本では出会うことのないクラシックのミュージシャンなどがカットに訪れることも。「日本の一流と呼ばれる層が移住してきている印象ですね」と梅沢さん。
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