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【三皿目】「1906R」(=ラビオリ)

「最後はすごく迷ったんですけど、コレにしました」。



昨年復刻されて話題を集めた「1906R」。オリジナルは2009年デビューのランニングシューズで、アッパーデザインはそのまま、のちに登場した「2002」と同じソールを履かせた一品だ。

「コストパフォーマンスが抜群にいいモデルだと思います。ニューバランスのミドルレンジの中で最高の一足じゃないかな。履き心地の良さに感動して、厨房に立つときはもっぱらコレを履いてます」。

1日中立ち仕事をする料理人にとって、足元のパートナー選びは非常に重要。そういう意味でニューバランス、特に「1906R」は仕事がしやすい相棒だという。



「まず、擦れとか汚れがついても気軽に洗濯できるから良いですよね。アッパーがヌバックの990シリーズとかだと気になっちゃうし。それでいて、履き心地もめちゃくちゃいい。カカトもしっかりホールドしてくれて、ストレスもありません」。

同じソールで、ややライフスタイル寄りの「2002R」ではなく、あえてハイテク感を強調した「1906R」を選んだのはなぜだろうか。



「確かに、ちょっと今っぽくない感じのデザインだけど、そこが逆に新鮮だったというか、割とファッションも選ばず、良いアクセントになってくれるんですよね。そういう懐の広さと、価格とクオリティとのバランスの良さに、新定番の匂いを感じます」。



パフォーマンスモデルのルックスと、ライフスタイルモデルの快適性を融合させた「1906R」。

新しさを感じつつ、どこか郷愁感を漂わせるハイブリッドなシューズを料理に例えるなら「ラビオリ」がしっくりくるという。



「ラビオリはウチでスペシャリテとして出している料理ラビオリ自体はイタリア料理のシンプルで伝統的な手法をとってはいるんだけど、皿の構成要素を多くすることでフランス料理のような味の複雑さを表現しているんです。

定番モノをめちゃくちゃハイブリッドに再構築して編集し直している感じが似ていると思います」。


常に試行錯誤して、年ごとに“今”のベストを提示してくるニューバランスのスタンスに、「自分も料理人としてそうありたい」と鳥羽さん。

「10皿のコース料理を、ニューバランスのスニーカーで全部ペアリングしたら面白そうですね。例えば『このオーセンティックなスープは“1300”をイメージしました』みたいな……」。

偏愛話は、まだまだ尽きないそうにない。


佐藤ゆたか=写真 外山壮一=取材・文

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