オトバンクは別の知り合いから教えてもらい、最終的には就職に至る。
オーディオブックとは書籍の文字を声優がすべて読み上げて、音声で聴けるようにしたものだ。
スマホの画面はこんな感じ。
開発に乗り出したきっかけは、創業者の祖父が緑内障で失明してしまったこと。
2004年の創業時はスマートフォンもなく、このアプリが一般に普及するという想像は難しい。周囲から強く反対されたそうだ。
コンセプトは「目が見えない人にも読書を楽しんでもらう」。つまり、「耳で読む」ということ。現在は「いつでもどこでも利用できる」時代になった。作品数は数万点を超えたそうだ。
「もちろん、目が見える人も『ながら』で聴けるという使い方ができます。また、運動をしながら利用すると脳が活性化するという新しい研究データがあって、ゆくゆくは認知症対策にも使えるかもしれません」。
制作スタジオも社内にあるというので見せてもらった。
このブースの中で書籍の文字を読みながら声優さんが声を吹き込む。
リアルタイムで録音するディレクターの作業スペースが隣接している。
「収録はおおよそ完成尺の2〜3倍というのが平均的で、全部で20時間ぐらいになることもあります」。
廊下には過去に声を担当した声優さんのサインがズラリ。
さくらももこさんのエッセイをオーディオブック化した際に、『ちびまる子ちゃん』でまる子役を担当しているTARAKOさんが声を吹き込んだそうで、そのときにもらったという色紙もあった。
何と贅沢なタッグ。
社内の人間が外部に説明するためのガイドブックも帆乃香さんが編集した。
そんな帆乃香さんを推薦してくれたのは、同じオーディオブック事業部で働いている飯泉早希さん。
「常に世間の動向にアンテナを張っていますね。デキる広報です。会議で企画に詰まったら、『佐伯さんに相談してみよう』という感じで、スパイスを足してもらったり、別の視点の意見を聞いたりしています」。
困ったときにいつも相談に乗ってくれる存在だという飯泉さん。
なお、「オーディオブック」というワードは昨年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた。世間の認知度も順調に上がっている。
「それを受けて、御茶ノ水、巣鴨、新橋の駅前で宣伝用のビラ配りをしたんです。現在の会長や社長、他部署の社員なども協力してくれて感動しましたね」。
他部署の方が協力してくれたのも、帆乃香さんの人徳か。
「とはいえ、まだまだ認知度が足りていないと思うので、販路を増やしたり、新しい使い方を研究するために自分で使って試したりするのが私の仕事です」。
図書館との連携もスタート。
ちなみに、帆乃香さんは30年近く暮らした実家を出て、昨年からひとり暮らしを始めたそうだ。
「正直、寂しかったので、自宅でも楽しめるイベントを作ろうと思って、流しそうめん器を買いました。YouTubeで山の景色と川のせせらぎ動画を見ながら、そうめんを食べています。友達も呼びやすいのでお勧めですよ」。
中央のLEDライトが光るのもお気に入りポイント。
20代最後のタイミングでは、同僚に誘われてランニングに挑戦した。また、久しぶりに全力疾走をしようと100m走の記録も計測したそうだ。
「気分は最高でしたが。タイムは最悪でした」。
ありがとうございました。
では、読者へのメッセージをお願いします。
声優さんも錚々たるメンバーに依頼、耳のスキマ時間にいかが?
[取材協力]オトバンクwww.otobank.co.jp