デザインや家具作りの正式な訓練を受けていなくても、ソンの作品は買い手の心を震わせる。
当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら。 カスタムメイドのハードウッド家具「ウッド・ハイ」を設立したハワイの家具職人デ・W・ソン。彼の家具は自然の丸みを活かしたものも、細部まで丁寧に磨き上げたものも、パズルのピースが集まってひとつの絵が浮かび上がるようなまとまりがある。
33歳の家具職人は、形状よりも機能を重視する。「子供の頃は、持っているおもちゃで遊ばずに、バラバラにしてはどうやったら元に戻せるかばかりを考えていました」。
雨が降ったある日、工業エリアのカリヒ地区で、ソンは少年の頃と変わらず機敏に身体を動かす。建築廃材を軽々とまたぎ、ゆうに3メートルはありそうなスライディングテーブルソーを巧みに扱う。地元の材木の一枚板でできた椅子のひとつを勧められた。
そして、豪華なコーヒーテーブルに釘付けになった。
「あれはモンキーポッド(アメリカネムノキ)を使っています」とソンは言い、「モンキーポッドは、ここオアフでいちばん入手しやすい木材です。どこにでもありますから。よく使うんですが、コアの木やオーヒアなどの詰まった木と比べても十分丈夫だし、高品質で、値段も手頃なんです」と続けた。
ソンのデザインへのインスピレーションは、とどまることを知らない。若い頃、実際に手に触れることができて、機能性と美しさも兼ね備えたものを創り出してみたいという思いに駆られた。だが、その思いが実現するのは、ホノルル・ファニチャー・カンパニーの創立者、トルベン・ブトケに出会ってからだ。
2012年当時、ソンはダウンタウンのローカルなバーで働いていたが、持ち前のウッドクラフトへの情熱があれば生業としてやっていけるはずだと感じた。こうして、夢が現実へと形を変えた。
その後、ソン(実は、FLUXハワイの編集者リサ・ヤマダの夫である)は、住居用ならびに商業用プロジェクト向けのカスタムメイドのハードウッド家具を専門にした「ウッド・ハイ」を創立。デザインや家具作りの正式な訓練を受けていなくても、ソンは買い手の心を震わせる作品を生み出し、その結果、買い手の多くはリピート客となった。
これまで手掛けたものは、大掛かりなものから小さなものまでさまざまだ。
例えば、ラ・トゥール・カフェの複数店舗にあるコミュナルテーブルや、オアフ、マウイ、ビッグアイランドにあるクイックシルバーの店舗用の棚、ワイキキのザ・リッツ・カールトン・レジデンスの日本風の浴室に置かれた小ぶりのチーク材スツールなどがある。
「デさんは、仕事の範囲がはっきりと理解できるまで質問をします」と語るのは、ブレット・ヒル・コンストラクションの社長、ブレット・ヒルさん。
プライベートなワインセラーの目玉となる約3メートルものウォールナット材テーブルとチーク材の椅子など、これまでいくつものプロジェクトでソンと契約をした人物だ。
「細部まで神経をとがらせ、スケジュールに気を配り、コラボレーションを意識し、それでいて公正な料金。私が最も感銘を受けるところです」。
成功者となってからも、ソンは「ウッドワークの学び人」であり続けていて、同年代の人間から(もちろんYoutubeからも)できるだけ多くを学ぼうとしている。
しかし、最終的に信用するのは流行よりも自分の目だ。彼のスタイルは、ハワイの自然が見せる景色を象徴していて、有機的な着想と五感が喜ぶ創造性を兼ね備えている。
カリヒの作業場にいるデ・W・ソン。ハワイの自然な風景を写しとる作品を制作する。
「僕のもとを訪れるみなさんは、インスピレーションを求めています」とソンは語る。
「彼らが真に何を欲しているのか、僕がこの感覚をつかむまでさまざまな作品の写真をお見せします。そして、彼らの欲しているものに僕らしさをひとさじ、ふたさじ加えるようにしています。作品に独自のアイデンティティがあることをとても重要視しているんです。
みんなが持っているようなものが欲しい人は、ピア・ワンやインスピレーション・インテリアに行けばいい。でも、時を超える何かが欲しい人は、僕のところに来ます」。
詳細は、
woodhi.coへ。
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