当記事は「SUiTE」の提供記事です。元記事はこちら。 スケートボードが生み出す廃棄物を高性能なサーフボードのフィンにするメーカー「プッシュフィンズ」。ポートランドの魅力を伝えるシーズナルなメディア『SUiTE』よりこの地ならではのサステナなカルチャーを紹介。
スケボーとサーフィンをつないで、両業界の製造過程をグリーン化する
「サイドウォークサーフィン」は、1950年代に登場した。波に飢えたサーファーたちが機転を効かせ、木製の厚い板にローラースケートの車輪をくくりつけて、弧を描きながら南カリフォルニアのストリートを滑走し始めたのだ。
単なるサーフィンの真似にとどまらない人気が出るにつれて、ローラースケートを転用したり廃品の厚板を使ったりすることがなくなり、柔軟で耐久性のある五大湖地域産のカエデ材で作られたスケートボードへと移行した。
こうして現在目にするスケートボードが誕生するわけだが、残念なことに、副産物として、木片にするか、ひどい場合は廃棄するしかないような粗悪な薄板が大量に発生するようになってしまった。
プッシュフィンズのアイデアがひらめいたのは4年前。クリスチャン・セラーズさんがサーフボードのフィンをスケートボードのデッキから再生したものに交換したときだ。
ポートランドの作業場にこもるクリスチャン・セラーズさんは、浜に打ち上げられたヒトデをひとつひとつ拾っては海に投げ返すような人間だ。
シアトル出身で、物心ついてからずっとスケートボードを楽しんでいたが、年齢を重ねたスケーターの多くがそうであるように、スケートより少し穏やかなサーフィンの世界に向かう過渡期にあった。
だが彼がユニークなのは、スケートボードを携えて新たな世界に向かう方法を見つけたことだ。スケートボードを作るみたいに工場ではねられた薄板を圧着し、これを削って磨いてサメの背びれのような形をしたサーフボードの舵取り用のフィンにしたのである。
スケートボード業界の廃棄物を海に持ち込み、新しい命を吹き込んだ。廃品を救済するという使命感が、「プッシュフィンズ」という会社を立ち上げる土台となった。
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