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プッシュフィンズが生まれた偶然と、ポートランドが育んだ成功



サーフボードを作る際に残ったグラスファイバーの端切れと、スケートボードメーカーが欠陥ありとして廃棄した大量の木材を使って、セラーズさんはより高性能でサステイナブルな製品を作り出す。

プッシュフィンズのアイデアが生まれたのは、4年ほど前だ。その頃、セラーズさんは、タホ湖の側に住みながら、エコフレンドリーな新しいバイオベースエポキシ樹脂を製造過程に用いるサーフボードメーカーに勤めていた。

友人にサーフボードのフィンが壊れたから交換してほしいと頼まれ、セラーズさんは古いスケートボードのデッキを手にした。

「なぜかはわからないけど、性能を重視したらこれしかないだろうと思えたんです。軽くて強く、柔軟性があるから」とセラーズさん。やがて、勤めていたメーカーが閉鎖になり、サーフボードには小さすぎるがフィンぐらいならちょうど良いサイズのファイバーグラスが大量に残された。

「会社で使っていたバイオベースエポキシ樹脂にカエデ材、そしてこのグラスファイバーの断片を使えば、より高い性能を持ち、驚くほど持続可能なサーフボードのフィンが作れるはずだと考えたのです」と続ける。


セラーズさんがポートランドに移ってきた4年前、協力的なコミュニティと出会った。彼らがプッシュフィンズの成長を支えてくれた。
セラーズさんは試行錯誤を重ねた結果、似たようなスポーツから派生した廃棄物を高品質な製品へと蘇らせる方法を見つけた。

世界クラスのサーファーもセラーズさんのフィンには独自のスリングショット効果があると言う。サーファーが波にぶつかったとき、カエデ材の中心部が跳ね返り、急勾配する波や波の平らな部分を操る力となるのだ。



プッシュフィンズの成功の一因は、2014年にポートランドに引っ越したことだという。「ポートランドでは、誰もが技術を惜しみなく提供してくれるし、人付き合いもいい。製造でも、組み立てでも、デザインでも、何が必要なのかすぐにわかります」とセラーズさんは語る。

さらに、廃棄物を多く出すサーフィン、スケート両業界の事業モデルに対する変化を持続させるには、このようなコミュニティのサポートが必要になることもわかっている。

「明らかに今、誰かがコケの付いた大きな岩を正しい方向に押そうとしています。私もその一部になりたいのです」。セラーズさんは、サーファーが波を下り、スケーターが丘を下るようにその岩が転がり始めたら、正しい方向へ向かうようにプッシュフィンズで手助けしたいと考えている。


プッシュフィンズのサイトはこちら。
http://pushfins.com


This article is provided by “SUiTE”. Click here for the original article.

写真=アシュトン・モーガン 文=トラヴィス・ハンコック
翻訳=上林香織

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