ダッジ「チャージャー」
“格好いいワル”なイメージはEVになっても同じ!
初代チャージャー。『ワイルド・スピード』でドミニクがスーパーチャージャーを載せて乗っていた。
1960年代のアメリカでは、ハイパワーのV8エンジンを搭載した大きなスポーツカー、いわゆるマッスルカーのブームが沸き起こった。そこに投じられたのがダッジ・チャージャーだ。
初代は1966年に登場すると、翌1967年には排気量約7.2LのV8を搭載したチャージャーR/Tが追加された。
いかにもワルなその顔つきからだろうか、上記マスタングで紹介した映画『ブリット』では、マスタングに乗る主役のマックイーンに対し、殺人犯はチャージャーを操ってカーチェイスを繰り広げた。
また『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』では、主役のピーター・フォンダが運転するが、彼は現金強盗。パトカーを蹴散らしながら衝撃的な結末を迎える。
さらに『ワイルド・スピード』の主人公ドミニクの愛車としても有名、とチャージャーにはどこかしらダーティなイメージがついて回るが、それこそがこの車の魅力。しかし昨年、現行モデルでの生産終了が発表された。
初代を思わせるデザインの電気自動車「チャージャーデイトナSRT」。エンジンがないのに、チャージャーらしい爆音を発するエキゾーストサウンドシステムも搭載するという。
ひとつの時代が終わり、さみしい気もしていたが、今年に入って電気自動車として復活するかも!? というニュースも飛び込んできた。
その姿は……やっぱりダーティなチャージャーで、胸をなで下ろしたファンもいるのでは?
ダッジ「チャレンジャー」
紆余曲折もグッとくるチャージャーの弟分
初代チャレンジャー。50年以上も前の車なのに最高出力300馬力オーバーのモデルも用意された。ちなみに日本で初めて280馬力を達成し、その後の上限280psという業界自主規を作るきっかけとなった日産フェアレディZ(Z32)のデビューは1989年と約20年後。
フォード・マスタングが切り拓き、シボレー・カマロも参入した“ポニーカー”市場に、ダッチもチャレンジャーを投入。
しかしそのデビューは1970年とライバルたちより遅く、また当時は兄貴分の上記チャージャーが牽引していたマッスルカーブームの真っ只中だった。
そこでチャレンジャーにも最大7.2LのV8が搭載されるなど、パワフルなイメージが強められたが、結局1974年に生産が終了してしまう。
それでも1971年公開の映画『バニシング・ポイント』では、主役の車として抜擢された。といってもチャージャー同様、ワルなイメージが買われたようで、チャレンジャーに乗ってデンバーからサンフランシスコまでを15時間で陸送するという賭けをした男が、それを取り締まろうとする警察と対決するという役回り。
初代を彷彿させるデザインの現行型。2022年モデルのトップグレードの最高出力は807馬力と、上記チャージャーの797馬力を上回る。
その後、提携先である三菱自動車のギャランΛ(ラムダ)がチャレンジャーとして販売されたこともあったが、正式に復活したのは2008年。
メルセデス・ベンツEクラスから足回りを流用するなど、当時の提携先であるダイムラー社製パーツを多数使いつつ、独自の6.1LのV8エンジンも搭載。さらに初代のような悪っぽい2ドアスポーツカーのボディを纏って再デビューを果たした。
それから現在に至るまで約16年間も販売され続けてきた現行型だが、上記チャージャーとともに2023年モデルをもって生産が終了すると発表された。
残念だが、上記の「チャージャーデイトナSRT」にその意思は引き継がれるようだ。