「メインカルチャーに対するアレルギーがあって、みんなと同じじゃ嫌。『みんなこうしてるよ』と言われると、その逆を行きたくなる。天邪鬼なんだと思います。
自分が好きなものってちょっと掘れば、いいものがたくさん出てくる。映画でも漫画でも服でも音楽でも、面白いものを探したいし、いいものって自慢したいし。10年前からずっと言ってることなんですけど」(呂布)
人生を変えた、YouTube配信
コロナ禍にライブが減ったことで、昨年から自らYouTube配信を始めると、テレビ業界からも声がかかるようになった。ABEMAで配信されるディベート番組「マッドマックスTV論破王」やテレビのバラエティ番組に出演。地元・名古屋ではレギュラー番組も始まっている。
「ヒップホップって、人間性をプレゼンすることが多いんですよ。だから自分を知ってもらうには音楽が一番手っ取り早いけど、バラエティ番組やインタビューに出るときも音楽と並行して自分を表現したいと思っていて、片っ端から面白そうな誘いは受けてます」と明かす。そしてこう付け足した。
「そう言うと、目立ちたいとか承認欲求が強く聞こえるんだけど......。自分にとって排泄行為みたいなもんです。出せばスッキリするから。相手を喜ばせたいというより、もっとエゴイスティックに自分がやりたくてやってるだけっす」。
もともとはコロナ禍で春休みが長くなった学生たちに向けて、インスタライブをしていたら知り合いのYouTuberから「YouTubeをやったらお金になりますよ」と言われて配信先を切り替えた。週1回、2時間程度ファンの質問に答えて喋るスタイルの配信はいまも続けている。
これまでの道のりを振り返ると、「もうずっと1年前には想像できなかったことばかりで、信じられないことの連続です」と笑う。
今後、呂布が目指す先とは。この質問には意外とストレートな答えが返ってきた。
「ヒット曲を出したいっす。CMで知られてはいますが、やしきたかじんのようなスーパーヒット曲は出せていない。想像してた売れ方じゃなくて、ヒット曲なしでテレビには出て......順番逆なんですけど、今年度内は音楽を置いておいてやれることを全部やって、また楽曲作りも進めていきたいですね」。
ステージ上では、オールバックに柄シャツがトレードマーク。「半分冗談、半分本気で『謎サブカル文化人』になりたいと思ったこともあるんです。みうらじゅんとか所ジョージとか」と語るように、流行り物アレルギーから始まった呂布のオリジナルスタイルは定着しつつある。
先に多くの人の目に触れるのは、眼光鋭く演者たちに冷静にツッコミを入れる姿か、皮肉の効いたラップを歌う姿か、はたまた全く新しい姿か──。呂布の正体は、ぶれない信念と変化に柔軟な考えが混在する人物だった。
呂布が月1でラップのイベントを開く老舗クラブ「club buddha」がある名古屋・新栄町。ビジネス街であり、夜の街である
(
後編では、呂布カルマの勝ち方についてお届けする。)